1992 Fiscal Year Annual Research Report
レチノイド,B-カロチンの新生児における栄養評価とその臨床応用
Project/Area Number |
04807070
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
岡本 良三 大阪医科大学, 医学部, 講師 (80131324)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
真砂 光宏 大阪医科大学, 医学部, 専攻医
荻原 享 大阪医科大学, 医学部, 助手 (00211128)
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Keywords | 末熟児 / 慢性肺疾患 / ビタミン-A / レチノール / β-カロチン |
Research Abstract |
近年医療の進歩に伴い末熟児の生存率が高まるなかで、末熟児と慢性肺疾患の関係が注目されている。この慢性肺疾患の予防にビタミンAが有効であるという報告もあるが、ビタミンAには中毒症が存在するためその安全な投与が望まれている。ビタミンA充足状態の健常成人に対するβ-カロチン投与の報告はあるが、この場合血中レチノール値の上昇は認められないと言われている。今年度私達は末熟児を対象としてβ-カロチンを栄養添加し、血中のレチノール、β-カロチン、RBPを測定し検討した。レチノール、β-カロチンはHPLCを用い、RBPはレーザーネフェロメトリー法を用いて測定した。β-カロチンの添加は生後3-4日目より行った群(A群)と経口摂取開始後約1ヵ月の時点で行った群(C群)の2群で行った。またそれぞれの対象をB群、D群としたβ-カロチンの添加は10mg/kgを朝1回7日間連続で行った。レチノール、β-カロチンおよびRBPの測定はβ-カロチン添加前後に行った。β-カロチン添加により血中β-カロチン値は著明に上昇した。血中レチノール値は、A群、C群では有意差をもって上昇した。B群でも上昇傾向を認めたが有意差はなかった。またD群では血中レチノール値に著明な変動を認めなかった。血中RBPはA群B群ではレチノールの上昇に伴い上昇傾向を認めたが、C群D群では著変を認めなかった。 ビタミンA欠乏状態といわれる末熟児ではβ-カロチン添加により血中レチノール値の上昇を認めた。このことは末熟児の体内においてはβ-カロチンからビタミンAへの転換がさかんであることを示しており、β-カロチンはビタミンAの供給源となり得ることが示唆された。
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