1992 Fiscal Year Annual Research Report
フッ素標識糖の磁気共鳴を手段とした肝臓障害の生化学的診断
Project/Area Number |
04807078
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
亀井 洋子 (金沢 洋子) 九州大学, 薬学部, 助教授 (20037584)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 恒雄 ダイキン工業, 化学事業部, 研究員
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Keywords | 2-Deoxy-2-fluoro-D-galactose / 2-Deoxy-2-fluoro-D-glucose / 肝臓 / 肝臓腫瘍 / MRS / ^<19>F NMR / UDP-ヘキソース / 無侵襲計測 |
Research Abstract |
本研究では肝臓疾患の新規な生化学的診断法の開発を目的とし、高い肝臓集積性が知られているフッ素糖、2-デオキシ-2-フルオロ-D-ガラクトース(FDGal)、の代謝を^<19>F NMRを用いて追跡する。疾患の種類とMRSに反映される代謝異常の関連を明確にし、これによって肝臓の局所的活動状態の無侵襲生化学的モニタ法を開発するものである。 生体内でFDGalは通常のガラクトースと同様に認識されFDGal-l-リン酸を経てFDGへ変換されるが、(1988年報告)本年度の研究によりこれらの代謝を司るガラクトキナーゼ、UDP-グルコーストランスフェラーゼ、エピメラーゼなどの相対的な重要性を^<19>F NMRで定量し検討することができた。その結果、四塩化炭素による肝臓機能障害によって最も影響を受けるものはUDP-グルコーストランスフェラーゼであったが、これは通常のガラクトース代謝において知られている結果と相容れる。したがってこのフッ素標識化合物を用いた診断の根拠を強固にすることができた。 さらに、肝臓腫瘍(MH-134 ヘパトーマ)をマウス腹水がんとし、FDGalおよびFDG(2-デオキシ-2-フルオロ-D-グルコース)の集積と代謝をex vivoで比較観測した。その結果肝臓がん由来のがんであっても必ずしも常に肝臓と同じ糖代謝の性質を保持するとは限らないことが示された。また、通常の臓器ではあまり観測されないUDP-FDGからUDP-FDGalへの変換が明確に観測された。これらの結果は肝臓腫瘍の性格づけに役立つものである。なお、ここで新たに発見されたUDP-FDGからUDP-FDGalへの変換の結果を代謝マップとして画像表示することは信号の感度上現在の技術では困難であるが、無侵襲局所スペクトルとしての観測は可能であり、当面は後者の立場で利用すべきものと考えられる。
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Research Products
(1 results)