1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04807089
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
伊勢 秀雄 東北大学, 医学部, 講師 (10150260)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森安 章人 東北大学, 医学部・附属病院, 助手 (10241621)
北山 修 東北大学, 医学部・附属病院, 助手 (80214823)
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Keywords | 胆石溶解剤 / 胆石中ムチン / アセチルシステイン |
Research Abstract |
(1)アセチルシステインの胆石崩壊作用 アセチルシステイン20%溶液中にヒト胆石を浸漬すると、コレステロール胆石(混合石)は120分、ビリルビンカルシウム石は60分で、また臨床的に胆石溶解の適応でないとされる黒色石も40分で崩壊し、小結石片、砂状に変化した。これはアセチルシステインのムチン溶解による崩壊効果と考えられた。また溶液中にビリルビン色素の溶出が見られ、従来の溶解作用も確認できた。 (2)アセチルシステインの生体内での効果 雑種成犬を用いて胆嚢外瘻を造設し、胆嚢内に黒色石を留置した。外瘻チューブからアセチルシステインを10ml注入し5分滞留後排液、生食水を同様に注入した。この操作を40分間繰り返し、犠死させ胆嚢内の胆石を観察した。胆石は試験管内と同様に砂状に崩壊しアセチルシステインの生体内効果が確認できた。 (3)アセチルシステインの急性毒性試験 家兎胆嚢を開腹下に直接穿刺し、胆汁を廃液の後アセチルシステイン5mlを注入した。30分、45分、60分に犠死させ胆嚢の組織学的変化を検討した。30分滞留のものでは浮腫や炎症細胞浸潤などの変化を認めなかったが、45分では粘膜下層に浮腫を認め、60分ではさらに程度を増した。これはアセチルシステインの浸透圧が血清浸透圧より高いことに起因した変化と考えられた。しかし、粘膜面の粘液層は60分でも保たれていた。胆嚢外瘻造設犬(前記)での薬液と生食の交互注入では施行中の血液生化学値の変動はなく、また病理組織学的検討でも肝胆道系・十二指腸に異常所見を認めなかった。以上からアセチルシステイン胆道内注入に際しての急性毒性は認めなかった。 このようにアセチルシステインはムチン溶解作用を応用した新しい作用機序(崩壊作用)を有した胆石溶解剤として臨床応用可能な薬剤として位置付けることができた。今後慢性毒性が検討課題である。
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Research Products
(1 results)