1993 Fiscal Year Annual Research Report
急性期脳虚血に対する新しい外科的治療法「経脳静脈逆灌流療法」の開発
Project/Area Number |
04807103
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Research Institution | Miyazaki Medical College |
Principal Investigator |
脇坂 信一郎 宮崎医科大学, 医学部, 教授 (90038844)
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Keywords | 脳虚血 / 脳静脈 / 逆灌流 / 治療法 / 注入圧 |
Research Abstract |
実験動物はラットを用いた。エンプタール全身麻酔下に両側大腿動静脈にPE-50カテーテルを留置し、気管切開、チューブ挿入後人工呼吸管理を行った。頸部皮膚正中部を切開し、両側頸動脈左頸静脈を確保、右頸静脈内にはPE-カテーテルを頭蓋内方向に約1cm挿入し固定した。頭頂部皮膚切開した前頭部に直径2mmの骨窓を設け、複合電極(水素クリアランス式組織血流メータ電極、pHメータ電極、熱電対電極)を左前頭葉皮質内に刺入した。以下処置前、両側頸動脈結紮後、加えて脱血による全身血圧の低下(収縮期血圧60mmHg)、20分後に左頸静脈を結紮、右頸静脈より自家動脈血を逆行性に脳内に注入(前年度は2.5ml/minの注入量であったが、今年度は5.0ml/minの注入量)を行った。連続的に局所脳血流量(ICBF)、局所脳pH(1pH)、局所脳温(1Temp)を測定し、前年度の実験結果と比較した。結果、処置前の全身血圧(SABP)は142±18/104±14mmHg),1CBF=70.4±17.8(ml/100g/min),1pH=7.4±0.1,1Temp=37.7±0.2(℃)であった。頸動脈結紮後はSABP=182±21/148±18,1CBF=17±12,1pH=7.26±0.11,1Temp=34.7±1.4となった。脱血後はSABP=60±4/41±3,1CBF=3.5±1.4,1pH=7,18±0.09,1Temp=34.4±1.3となった。20分後に5.0ml/minで逆灌流療法を行うと、SABP=70±10/48±9.1CBF=21.5±10.7,1pH=7.35±0.05,1Temp=36.8±0.9であった。これらの結果は2.5ml/minで逆灌流した前年度の値に比較し、若干悪化していた。脳静脈系の破綻、浮腫の助長などが考えられ、今後の検討課題であった。
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