1992 Fiscal Year Annual Research Report
絨毛羊膜炎と胎児肺成熟促進効果との関係に関する研究
Project/Area Number |
04807117
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
樋口 誠一 秋田大学, 医学部, 助教授 (20006779)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松浦 亨 秋田大学, 医学部, 助手 (10221582)
平野 秀人 秋田大学, 医学部, 講師 (80156687)
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Keywords | 胎児 / 肺成熟 / 絨毛羊膜炎 / 肺サーファクタント / 新生児呼吸窮迫症侯群 / サイトカイン / RDS |
Research Abstract |
絨毛羊膜炎においてRDSの発生が絨毛羊膜炎の無い例に比較し有意に少ないことが臨床的に当施設を含め2、3の施設から報告されている。このことを踏まえて、まず我々は手始めに羊水中の差サーファクタント濃度を絨毛羊膜炎の有無によりその違いを検討してみた。 羊水中のサーファクタントとして飽和レシチン(DSPC)を測定した。破水がなくかつ早産陣痛を伴う任婦38名について羊水DSPC濃度、頚管成熟に関連する因子、および組織学的に胎盤の炎症の有無を検索した。その結果、羊水DSPC濃度と羊水採取時の妊娠週数との間に相関は見られなかった。しかしながら、羊水DSPC濃度と早産陣痛開始から分娩までの時間の間には負の有意な相関がみとめられた。また、陣痛開始から分娩までの時間が48時間以下であった症例の羊水DSPC濃度は48時間以上であった症例のそれよりも有意に高かった(妊娠週数は前者より後者が有意に高かったにもかかわらず)。一方、絨毛羊膜炎が認められた妊婦における羊水DSPC濃度は妊娠週数に違いはないにもかかわらず、絨毛羊膜炎がない妊婦にくらべて有意に高値を示した。以上の結果は絨毛羊膜炎を合併した妊婦においては羊水サーファクタント濃度が高いことを示し、絨毛羊膜炎が存在するとRDSの頻度が低いという上述の臨床的事実を裏ずける成績であった。 この原因として、絨毛羊膜炎において産生されるサイトカインのあるもの(血小板活性化因子が最も考えられる)が想定され、現在、ラットの肺胞II型細胞の培養細胞を用いて直接サイトカインにより刺激し、肺胞II型細胞においてサーファクタントの生成が促進される可能性を追求している。 以上
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