1992 Fiscal Year Annual Research Report
内耳部分障害の研究‐三次元の眼球運動として温度眼振を見直す‐
Project/Area Number |
04807125
|
Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
新井 寧子 東京女子医科大学, 医学部, 助教授 (50119880)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯田 直美 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (10232125)
久田 由子 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (90238296)
|
Keywords | 温度眼振 / 重力 / 三次元記録 / velocity storage / 耳石器‐半規管連関 |
Research Abstract |
温度眼振反応は、一側内耳を刺激する唯一の臨床検査法として広く行われているもので、現行の臨床検査は、外側半規管のみが鉛直面にある背臥位前屈30度で行う。外耳道を冷やす(または温める)ことによって、内リンパ液に温度差、ひいては対流を生み、眼振を生ずると説明されている。この説明を応用すると、通常の頭位でなく、前または後半規管を鉛直面に置くことにより、前半規管または後半規管の機能を選択的に調べられるはずである。単一半規管神経を電気刺激すると、刺激された半規管の面で眼が動くことが知られているが、従来眼球運動の記録は水平眼球運動のみを分析することがおおい。 そこで、眼球運動を三次元で記録分析することのできる施設において以下の共同研究を行った。赤毛ザルを用いて、互いにほぼ直交する3つの半規管すべてが重力と平行もしくは直交するような頭位で温度刺激を加え、記録された眼振を半規管面の出力として表現した。 結果:(1)外側半規管が重力と直交するような頭位での眼振反応は非常に弱かった。 (2)前半規管が重力と直交するような頭位での眼振反応が最も強かった。 (3)このとき、眼振は主として外側半規管面と前半規管面にあり、鉛直面にある後半規管面の成分はほとんど認められなかった。 (4)後半規管が重力と直交する頭位でも活発な眼振が記録され、これも主として外側半規管成分と後半規管成分であった。 これらの結果は、温度眼振反応を調べることによって半規管を個別に調べることはできないことを示す。しかし同時に、温度眼振を三次元に検討することが外側半規管と重力検知器すなわち耳石器機能を示すことを示唆するものであった。 研究費の削減によって、緊密なデータ交換が困難となり、これ以上に多面的な分析をすることはできなかった。
|
-
[Publications] "Three-Dimensional Analysis of Caloric Nystagmus in the Rhesus Monkeys" Acta Otolaryngologica(Stockh). 112. 916-926 (1992)
-
[Publications] 新井 寧子 他: "温度眼振反応における垂直半規管の役割" 日本耳鼻咽喉科学会会報. 95. 1613-1614 (1992)