1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04807140
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Research Institution | Matsumoto Dental University |
Principal Investigator |
倉沢 郁文 松本歯科大学, 歯学部, 講師 (60131059)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
舛田 篤之 松本歯科大学, 歯学部, 助手 (80165711)
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Keywords | クレンチング / 咬合挙上 / バイトスプリント |
Research Abstract |
今日、顎機能異常の治療には、異常な筋活動の軽減、咬合高径の回復ならびに疼痛の緩和などを目的として咬合を挙上させる「スプリント」が広範囲に適応されている。この療法による治療効果として、筋のリラクセイションなどが指適されているが、詳細な機序についてはいまだ明らかにはされていない。そこで今回、最大咬合力の約2%の弱い力を基準咬合力として記憶させ、次ぎに最大噛みしめを行わせた後に、いわゆる筋収縮活動興奮性の上昇にともない発現する「オーバーマッチング」を利用し、クレンチングの中枢への影響が咬合挙上量により、いかに変化するかについて検討した。 これまでクレンチングが要因とする顎機能異常にともない、筋に由来するさまざまな症状が報告されている。しかしクレンチングそのものがもたらす中枢への直接的影響に関する知見はほとんど得られていなかった。ここまでに我々の行った研究によれば、最大噛みしめ後において、噛みしめ停止動作にともない、約0.5秒間ほとんど咬合力を発揮しない状態から、一軽して基準となる咬合力の約2倍から5倍にまで上昇し元の咬合力に復帰するまでにほぼ10秒から20秒を要することが明らかとなった。筋の強力な収縮後に観察されるこのような現象は、強い噛みしめ後では、中枢性に比較的持続した閉口筋活動の興奮性が残留していることを意味しており、クレンチングがその直後の神経筋機構におよぼす影響を知る上で、興味ある知見を得ることができた。 咬合挙上量にともなう上記の誤差については、約6mm付近まで上昇し、約10mmでほとんど消退する知見を得ているが、現在さらに検討を行っているところである。
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