1992 Fiscal Year Annual Research Report
歯科補綴診療外来における老年患者の診療体位の実態観測と臨床施術への指針の検討
Project/Area Number |
04807141
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
森 隆司 愛知学院大学, 歯学部, 講師 (00159188)
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Keywords | 歯科補綴外来診療 / 老年患者 / 診療体位 / 診療姿勢 / 無歯顎補綴 |
Research Abstract |
歯科補綴診療のために外来を訪れる身体的機能や心理的要素が低下した老齢な患者にとって、疲労が少なく、且つ心理的な緊張を除くことが可能な、患者側からみた診療体位を追究することが目的である。 本学附属病院補綴科の歯科医師を対象にして、考案した老年患者側の診療体位、および術者側の診療姿勢に関する調査票を用いて面接調査を行った。併せて、老年患者で全部床義歯症例の診療体位と術者の診療姿勢の実態を観測した。結果の概要を、以下に示す。 1.65歳以上の高齢な患者が占める割合は、歯科医師一人当たり平均28.4±19.6%である。その内訳は上下顎全部床義歯症例が37.1%、片顎全部床義歯8.6%、部分床義歯43.2%、冠・橋義歯20.4%であった。 2.老人無歯顎補綴における患者側の診療体位を、各診療操作(29項目)ごとに検討した結果、椅坐位の値が最も大きく平均56.8±24.2%、次いで後方傾斜位24.1±18.5%、水平位18.6±17.0%であった。 3.同様に術者側の診療姿勢については、坐位が平均34.8±22.2%、立位65.2±22.2%であった。 4.患者側の診療体位を操作項目ごとにみると、椅坐位は患者指導・問診などの6項目で8割以上の値を示した。後方傾斜位は上顎概形印象・水平的顎間関係の決定・下顎リライニングで4割以上の値を、また水平位では上顎および下顎筋形成などの5項目で3割以上の値を示した。 5.術者側の診療姿勢を操作項目ごとにみると、坐位は初診時問診・患者指導などの6項目で5割以上の値を、また立位では仮想咬合平面の設定・顔貌の診査などの5項目で8割以上の値を示した。 6.老年無歯顎者の診療体位と姿勢に関する考えは術者間で異なり、様々な体位・姿勢で診療されているが、術者側の操作性・仕事の効率・疲労度から、体位・姿勢を選択する傾向があることが示唆された。
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