1992 Fiscal Year Annual Research Report
扇状地の発達に関する熱帯湿潤地域と温帯湿潤地域の比較研究
Project/Area Number |
04808041
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
斉藤 享治 埼玉大学, 教育学部, 助教授 (60170495)
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Keywords | 扇状地 / フィリピン諸島 / 日本列島 / 台湾島 / ポーランド |
Research Abstract |
研究目的は、「熱帯湿潤地域に位置するフィリピン諸島と、温帯湿潤地域に位置する日本列島・台湾島との、扇状地の形成条件および扇状地規模を比較する」ものであった。平成4年度と5年度の研究計画であり、平成4年度は、「フィリピンの扇状地の分布図」と「フィリピンの山地の発達段階」を求める計画であった。フィリピン5万分の1地形図がどれだけ入手できるかに本計画の成否がかかっていたが、全図幅975面中630面程度であった。その後、東京大学資料館・国会図書館所蔵の地形図を複写し、作業を進めている。最終的には、42面の欠落で作業ができそうである。地形図の納入が12月であったために作業が遅れ、現在、扇状地の分布の大部分を把握し、また、山地の発達段階を捉えるための、標高点の読み取り作業中である。このような事情から、当初の研究計画には無かった、ポーランドおよび南千島における扇状地の形成条件と扇状地規模の比較を、研究計画に追加した。ポーランドの5万分の1地形図を用いて、扇状地の分布を明らかにしたが、面積2km^2以上の扇状地をもつ河川は、66個であった。集水域面積200km^2以上の河川の扇状地をもつ割合は、日本の約25%に対し、ポーランドでは20%であった。その差は、第一に起伏比の大小のよるものであった。また、ポーランド内での扇状地の有無を決定づけているのも、起伏比であった。南千島には、扇状地がわずか2個しか存在しなかったが、それは、山地と平地を区切る断層がほとんど存在しないためと推測された。これらのポーランド・南千島・日本・台湾の扇状地、および河川流域の諸特性に関する、データベースを作成中である。平成5年度は、当初の研究目的のとおり、フィリピン諸島の扇状地の形成条件と扇状地規模について、温帯地域のものと比較・検討するつもりである。
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Research Products
(1 results)