1993 Fiscal Year Annual Research Report
細胞の圧ストレスと麻酔の圧拮抗を利用した酵母のアルコール耐性の強化
Project/Area Number |
04808045
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
田村 勝弘 徳島大学, 工学部, 助教授 (00093873)
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Keywords | 酵母の圧耐性 / 高圧力下のアルコール発酵 / 麻酔の圧拮抗 |
Research Abstract |
12%(W/W)までのエタノールを含む培地中で酒酵母7号とSaccharomyces cerevisiae AKU4100の2種類の酵母を400気圧までの高圧力下で生育させたところ,エタノールを含まない培地では酵母の生存率は圧力により低下した.これに対し,4および8%(W/W)のエタノールを含む培地では加圧により生存率が増加し200気圧で極大を示した. すなわち,エタノールが存在する系では圧力は酵母の生存率を高める方向に働く.これらの結果は新しい実験事実で,色々な分野での応用が可能であると考えている.下の(2)で示した加圧下におけるアルコール発酵はその一つである.酵母以外の微生物についても,高圧力下における挙動を調べてきた.例えば,大腸菌を400気圧の圧力下で一晩おくと,細胞1個の長さが約7倍長くなる異常伸長の現象が観察された.このように,約500気圧までの非致死的高圧力条件下における微生物はさまざまな興味ある現象を示す.本研究は,高圧力という地表菌では経験し得ない人工的ストレスを微生物に加えることにより,微生物の性質を変えこれを有効利用する可能性も秘めている. アルコール存在下の酵母が加圧により増殖することは,酵母のエタノール耐性が圧力により強化されたことを意味する.そこで,この実験結果の応用として高圧力下でアルコール発酵を試みた.200気圧の高圧力下で圧搾パン酵母を用いグルコースを発酵させたところ,酵母の生菌数は常圧発酵の場合に比べ明らかに増加したが,アルコール濃度に関しては,現在のところ高濃度のアルコールが得られるところまでに至っていない.閉鎖系における二酸化炭素の除去が今後の課題である.
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Research Products
(12 results)
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[Publications] K.Tamura: "Effects of ethanol on the growth and elongation of Escherichia coli under high pressure up to 40 MPa." FEMS Microbiol.Lett.99. 321-324 (1992)
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[Publications] K.Tamura: "Effect of irradiation of phospholipid bilayers with low-power He-Ne laser." Chem.Express. 7. 841-844 (1992)
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[Publications] S.Kaneshina: "Effects of pressure and ethanol on the phase behavior of dipalmitoylphosphatidylcholin" Chem.Lett.1992. 1963-1966 (1992)
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[Publications] 田村 勝弘: "大腸菌の生育と伸長に対するエタノールの圧力拮抗" 麻酔と蘇生. 28. 143-147 (1992)
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[Publications] K.Iijima: "Do low-power lasers change phase transition temperature of dipalmitoyl phosphatidylcholine(DPPC)membrane?" J.Clin.Laser Med.Surg.11. 191-195 (1993)
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[Publications] K.Tamura: "Hydrophobicity of the cell surface and drug susceptibility of Escherichia coli cultivated at high pressures up to 30 MPa" Biotech.Lett.15. 1189-1194 (1993)
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[Publications] 田村 勝弘: "熱ショック酵母の生育に及ぼす高圧力とエタノールの影響" 麻酔と蘇生. (印刷中).
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[Publications] 田村 勝弘: "大腸菌と酵母の圧力応答-非致死高圧領域における挙動-" 高圧力の科学と技術. (印刷中).
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[Publications] C.Balny: "High pressure and biotechnology" John Libbey,Paris, 565 (1992)
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[Publications] 林 力丸: "生物と食品の高圧科学" さんえい出版, 412 (1993)
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[Publications] 林 力丸: "高圧とバイオサイエンス" さんえい出版 (印刷中),
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[Publications] K.Seo: "Currrent Japanease Material Research Vol.13,“High pressure liquid and solution"" Elsevier (印刷中),