1992 Fiscal Year Annual Research Report
微小管結合蛋白質(MAP)を介した細胞質からのDNA複製制御
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04833005
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
塩田 正樹 東京大学, 医学部(医), 助手 (80134526)
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Keywords | 微小管結合蛋白質 / DNA複製 / 核マトリックス / DNAポリメラーゼ アルファ / DNA複製装置 / 真性粘菌 / デオキシリボヌクレオチド三リン酸 / 動力学 |
Research Abstract |
微小管結合蛋白質(MAP)によるDNA複製制御を解明する目的で、MAPのDNA合成促進作用の動力学的解析を単離したMAP、単離した核マトリックス(DNAポリメラーゼ アルファを含むDNA複製装置が結合している)、及び、単離したDNAポリメラーゼ アルファ(DNA複製酵素、DNA複製装置の一部をなす)を用いて用った。その結果、1)MAPはヒーラ細胞や真性粘菌より単離した核マトリックスのDNA合成を促進すること、2)MAPは単離したDNAポリメラーゼ アルファ活性を特異的に促進すること(したがって、核マトリックスではDNA複製装置の一部をなすDNAポリメラーゼ アルファを介してDNA合成活性が促進されること)、3)MAPによるこれらのDNA合成促進はMAPによるこれらDNA複製装置のデオキシリボヌクレオチド三リン酸(DNA合成の基質)のKm値の低下作用に起因すること、等が明らかにされた。また、真性粘菌の核マトリックスを用いた実験から、1)MAPは休止型のDNA複製装置に作用するが、活性型の装置には作用しないこと、2)休止型のDNA複製装置はデオキシリボヌクレオチド三リン酸のKm値が高い状態にあるがMAPの作用を受けると活性型の複製装置と同様な低いKm値に変化すること、等が判明した。これらのことから、MAPはDNA複製装置の一部をなすDNAポリメラーゼ アルファに直接作用し、そのKmを低下させる(複製装置の基質への親和性を高める)ことにより、DNA複製装置を“始動"の状態に変化させる働きがあることが明らかにされた。したがって、細胞内ではMAPは上述のメカニズムをもってDNA複製の調節に関与している可能性が示唆された。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] M.Shioda: "Modulation of DNA synthesis by microtubule-associated proteins in the nuclear matrix isolated from Physarum polycephalum" Cell Biology International Reports.
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[Publications] K.Okuhara: "Initiation of DNA synthesis in a high molecular weight fraction of Xenopus egg extract" Cell Biology International Reports.
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[Publications] S.Ikegami: "Effects of Okadaic acid on embryonic development of the starfish Asterina pectinifera" Biosci.Biotech.Biochem.56. 1007-1011 (1992)
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[Publications] S.Takayanagi: "Chromosomal structure of the halophilic archaebacterium Halobacterium salinarium" Journal of Bacteriology. 174. 7207-7216 (1992)
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[Publications] K.Murakami-Murofushi: "Inhibition of eukaryotic DNA polymerase alpha with a novel lysophosphatidic acid(PHYLPA)isolated from myxoamoebae of Physarum Polycephalum" Journal of Biological Chemistry. 267. 21512-21517 (1992)