1993 Fiscal Year Annual Research Report
市場経済化と経済体制転換-ソ連・東欧の崩壊と西側支援の課題-
Project/Area Number |
04834002
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
西村 可明 一橋大学, 経済研究所, 教授 (60017671)
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Keywords | 市場経済化 / 体制転換 / 私有化 / 民営化 / ソ連・東欧 / 権威主義 / IMF / 経済体制 |
Research Abstract |
1.本年度も旧ソ連・東欧諸国における体制転換の進捗状況を調査したが、最大の発見は、ロシアに関するものであり、極めて重要である。その要点は、ロシアは3つの「強い手」を同時に必要としているという歴史的にも稀有な状況に直面しているという点にある。すなわち第1に、市場経済への移行過程で人々の我慢を確保するために強い手が必要となっており、これは「開発独裁」と共通する面を持つ。第2に、民族主義、地域主義に由来する分離主義の傾向が、中央と地方との間で財政戦争といった形で強まっており、、ロシア連邦という国家を維持するためにも、強い手が必要になっている。第3に、遵法精神を失い無秩序化した社会を秩序ある社会にするための強い手が必要になっている。ロシア社会ではいわばヒットラー、スターリン、ナポレオンの性格を合せ持つような強い権力の確立が客観的に要請されており、西側はロシアに対する国際的対応を誤らないように、慎重でなければならない。議会を軽視しエリツィン個人を支援する西側のやり方は、軍事力利用をもたらす可能性があり危険であるという私の昨年春の予測通りに、ロシアの事態は発展してきた。今後の事態の進展を注意深く観察していきたい。 2.ロシアと東欧における私有化政策の比較検討を行い、その進捗状況を明らかにするとともに、とくにロシアの私有化小切手方式のもつ問題点を考察し、経営合理化の困難な傾向や市民の不満が累積する傾向を指摘し、またロシアにける私有化のしかるべき進め方についての提言を行った。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 西村可明: "ロシアの市場経済化をめぐる諸問題" 国際金融情報センター『旧ソ連における市場経済化の新局面』. 1-15 (1993)
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[Publications] 西村可明: "ロシアにおける私有化政策" 経済研究. 44 No.2. 149-163 (1993)
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[Publications] 西村可明: "東欧における私有化" 佐藤経明編『東欧諸国の変容と多極化の動向分析』. 27-39 (1993)
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[Publications] 西村可明: "中・東欧諸国における産業政策の必然性と可能性" 佐藤経明編『東欧諸国の変容と多極化の動向分析』. 40-47 (1993)
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[Publications] 西村可明: "ソ連・東欧における体制転換をめぐって" 書斎の窓. No.429. 37-42 (1993)
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[Publications] 西村可明: "ロシア連邦における私有化政策" 経済企画庁編『日本のエコノミストによるロシアの経済改革に関する提言』. 78-82 (1994)
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[Publications] 西村可明: "ロシアの経済改革の行方" 通産ジャーナル. 27 No.3. 16-17 (1994)