1992 Fiscal Year Annual Research Report
多国籍企業の直接投資行動の国際物流に及ぼす作用の理論的・実証的研究
Project/Area Number |
04834007
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
宮下 國生 神戸大学, 経営学部, 教授 (60030714)
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Keywords | 多国籍企業 / 現地製造業 / 直接投資 / ロジスティックスシステム / 国際物流 / プロダクトサイクル / ネットワーク / グローバル戦略 |
Research Abstract |
アメリカ,EC,ASEAN,NIESに設立された日本の多国籍企業の直接投資によって発生した国際物流ネットワークを計量分析によって地域別に考察し、その特徴を以下のようにとらえた。第1に、アメリカ現地製造業のロジスティックスのグローバルネットワーク化は内生的に構築されておらず、また外生的刺激にも反応していない。日本よりの調達、現地調達および現地販売を軸に他地域とは独立して自己完結的に構築されてきた結果、アメリカのモデルは他地域の現地製造業モデルに比して簡潔でありながら、説明力は比較的高いという特徴をもつ。そこには、日米間の組織型物流システムという安定的メカニズムに整合するシステムが生み出されている。第2に、EC現地製造業の製品は、プロダクトサイクル面より、日本,ASEAN,NIESの製品とグローバルな補完ネットワークを形成している。このようなオープンなロジスティックスシステムは、ECへの直接投資にもとづく我が国の輸出物流がとりわけアメリカとアジアの狭間にあって調整されている状況を反映している。それは縮少均衡的調整領域であるといえる。第3に、ASEANに立地する我が国の多国籍企業の現地法人の行動モデルは、アメリカやECの現地法人に比して、はるかにグローバルでオープンである。それは先進国に立地された我が国の現地法人の利益率のバッファーとして機能している。またそれは我が国の多国籍企業のグローバル戦略の最終的な調整領域なのである。ASEANのこの優れた調整能力は、アセアン現地法人自体の高い調達力弾性値に負うところが大きい。それがASEANの拡大均衡的調整能力を支えている。最後に、NIESはこのようなASEANの行動の完全な枠外におかれている。プロダクトサイクル面で両者は完全に樓み分けることによって、アジアにおける異なる二大経済圏として機能しているのである。
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[Publications] 宮下 國生: "物流の統合化・国際化と国際複合輸送" 海事産業研究所報(財団法人・海事産業研究所発行). 311号. 9-31 (1992)
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[Publications] 宮下 國生: "国際物流の新動向と航空貨物" ていくおふ(全日本空輸株式会社発行). 59号. 4-11 (1992)
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[Publications] 宮下 國生: "国際物流とロジスティックス・ネットワーク" 海運経済研究(日本海運経済学会発行). 26号. 65-84 (1992)
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[Publications] 宮下 國生: "国際交通業の産業組織の変質" 海事交通研究(財団法人・山縣記念財団発行). 40集. 3-32 (1992)