1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04835001
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Research Institution | (Institute of Low Temperature Science), Hokkaido University |
Principal Investigator |
香内 晃 北海道大学, 低温科学研究所, 助手 (60161866)
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Keywords | アモルファス氷 / 熱伝導率 / 彗星 |
Research Abstract |
アモルファス氷の熱伝導率は彗星の熱史を研究する上で最も重要な物理量である。しかし、これまでに種々の困難のためにアモルファス氷の熱伝導率の測定値はなく、Klingerによる経験的な推定値が広く用いられきた。本年度の目的は、平成4年度に開発したアモルファス氷薄膜の熱伝導率の測定法を用いたアモルファス氷の熱伝導率を直接測定することである。本研究で得られた成果を要約すると以下の通りである。 (1)アモルファス氷の熱伝導率がこれまでの推定値より4桁も小さいことが明らかになった。さらに、熱伝導率はアモルファス氷の凝縮速度に大きく依存することがわかった。これはアモルファス氷中の欠陥構造によるものと推定される。 (2)アモルファス氷にCOやCO_2などの不純物を含む場合は、純粋なH_2Oだけからなるアモルファス氷より熱伝導率は1桁程大きいことがわかった。これは、アモルファスH_2O氷中の欠陥部分にCOやCO_2が選択的に凝縮・吸着するためである。 (3)分子雲で水蒸気の凝縮によって形成される氷の構造はアモルファスであることを理論的および実験的に明らかにした。したがって、彗星の熱史を議論する際には、初期条件として彗星核の氷微粒子はアモルファス氷からなっていると考えてよいことがわかった。 (4)以上の結果により、これまでに行われてきた彗星の熱史の研究は根本から見直す必要があることが示された。長周期彗星の内部では放射性元素の崩壊熱によってアモルファス氷が結晶化する場合のあることがわかった。 以上の結果は、所期の目的を十分に達成しただけでなく、さらに氷の凝縮機構や彗星の熱史までをも明らかにすることができたことを示している。彗星の熱史の議論から、アモルファス氷の熱的性質や低温下でのアモルファス氷の結晶化のタイムスケールが彗星の熱史を研究する上で重要なことが明らかになり、これらは今後の重要な課題になるであろう。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Jenniskens,P.,Baratta,G.A.Kouchi,A. et al.: "Carbon dust formation on interstellar grains" Astron.Astrophys.273. 583-600 (1993)
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[Publications] 香内 晃: "宇宙にただよう氷の起源と進化" 化学と生物. 31. 708-713 (1993)
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[Publications] 香内 晃: "アモルファス氷の熱伝導率と彗星の熱史" 天文月報. 87. 15-20 (1994)
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[Publications] 香内 晃: "アモルファス氷星間の起源と進化" 雪氷. 55(印刷中). (1994)
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[Publications] Kouchi A,Yamamoto T,Kozasa T. et al.: "Conditions for condensation and preservation of amorphous water ice and crystallinity of astrophysical ices" Astron Astrophys. (in press). (1994)
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[Publications] Greenberg J.M.,Kouchi A,Niessen W. et al.: "Interstellar dust,chirality,comets and origin of life: life from dead stars?" Nature. (発表予定).