1993 Fiscal Year Annual Research Report
老化に伴うコラーゲンとコラーゲン結合性熱ショック蛋白質の発現の変化に関する研究
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04836008
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
佐賀 信介 名古屋大学, 医学部, 助教授 (40144141)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮石 理 愛知医科大学, 加齢医科学研究所, 助手 (60229797)
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Keywords | 老化 / ストレス蛋白質 / コラーゲン結合性 / HSP47 / 線維芽細胞 / 熱ショック反応性 / プロコラーゲン / 分子シャペロン |
Research Abstract |
1.昨年度に引き続き、若齢者および老齢者の皮膚より培養されたヒト線維芽細胞のlow PDL(PDL12-14)群について、^<35>S-Methionineでラベル、可溶化した後、抗HSP47モノクロナール抗体結合Sepharose-4Bを用いて免疫沈降を行った。 (1)HSP47のconstitutiveな合成量は若齢者細胞でも老齢者細胞でも同程度であった。 (2)熱ショックによるHSP47の誘導能は、若齢者細胞群では熱ショックを加えない状態の1.51倍であったのに比して、老齢者細胞群では1.25倍しか誘導されなかった。 2.マウスHSP47 cDNA-probeを用いてノザンブロッティングにより熱ショックによる転写レベルでのHSP47発現誘導能を若マウス由来のlow PDL群およびhigh PDL群、老マウス由来のlow PDL群およびhigh PDL群の4群について比較検討した。また、ヒト線維芽細胞mRNAよりRT-PCR法でヒトHSP47のcDNA-probeを作成し若齢者細胞と老齢者細胞について同様にHSP47 mRNAの熱ショック誘導能を調べた。 (1)継代初期(PDL2)では、老若とも熱ショックにより明らかなHSP47 mRNAの誘導を示したが、老マウス細胞は若マウス細胞に比較して誘導能の低下を示した。 (2)継代の進んだ(PDL7-8)細胞では、若マウス細胞、老マウス細胞ともにHSP47mRNAの熱ショック誘導能を欠如していた。 (3)ヒト線維芽細胞でも同様な結果が得られ、老齢者細胞は若齢者細胞に比してHSP47mRNAの熱ショック誘導能が低下していた。 3.ヒト線維芽細胞におけるI型procollagenの細胞内分布を蛍光抗体法で調べた。老齢者細胞では若齢者細胞に比して熱ショック処理でERに滞留するI型procollagenの量が顕著に増加しており、HSP47の誘導能低下との密接な関連が示唆された。 以上の結果は老化に伴うHSP47の誘導能低下は転写レベルで生ずることを示し、コラーゲンに特異な分子シャペロンとしてのHSP47の誘導能低下が老化に伴う細胞内のprocollagen processingの変化を生じしめていることを示唆している。
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