1993 Fiscal Year Annual Research Report
メイラード反応による蛋白質の老化変性における架橋構造の質量分析法による解明
Project/Area Number |
04836009
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
丹羽 利充 名古屋大学, 医学部, 助教授 (20208268)
|
Keywords | メイラード反応 / 3-デオキシグルコソン / ガスクロマトグラフィー / 質量分析 / 糖尿病患者 / 糖尿病性腎症 / タンパク質 / 架橋重合 |
Research Abstract |
メイラード反応の中間代謝産物で架橋作用が強い3-デオキシグルコソン(3-DG)が糖尿病患者の血清中に存在するか、また存在すればその濃度が糖尿病患者において正常者より増加しているか、ガスクロマトグラフィー/質量分析法(GC/MS)により検討した。内部標準物質として、有機合成した^<13>C_6-3-DGを用いた。血清1mlに200ngの内部標準物質を添加し、グルコースオキシダーゼ、カタラーゼと混合し、37℃で1時間インキュベートした。エタノールで除蛋白した後、陽イオン交換カートリッジ、陰イオンカートリッジに添加し、溶出液を凍結乾燥し、メトキシム-トリメチルシリル化した。GC/MSの電子イオン化選択イオン検出(EI-SIM)および化学イオン化選択イオン検出(CI-SIM)により糖尿病患者および正常者の血清中に3-DGを検出した。そこで濃度を測定したところ、正常者18例では314±27(SE)ng/mlであるのに比較して、糖尿病患者30例では778±148(SE)ng/mlと有意に(p<0.05)増加していた。特に尿中アルブミン20mg/日以上の蛋白尿を呈する糖尿病性腎症の患者11例では1235±345(SE)ng/mlと糖尿病性腎症を呈さない19例の513±68(SE)ng/mlに比較して有意に(P<0.01)増加していた。これらの結果は、メイラード反応が生体内で実際に起きていること、および糖尿病患者、特に糖尿病性腎症の患者ではメイラード反応が進行していることを意味している。
|
Research Products
(1 results)