1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04836017
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
難波 正義 岡山大学, 医学部, 教授 (80069004)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加納 良男 岡山大学, 医学部, 助手 (70116200)
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Keywords | ヒト細胞 / 細胞老化 / 遺伝子 / クローニング |
Research Abstract |
ヒト正常細胞は一定の分裂を終えると、分裂を停止し、徐々に死滅して行く。この現象は細胞老化と云われている。我々はこの細胞老化現象を分子細胞学的に解析することを研究の目的とする。老化細胞と若い分裂の盛んな細胞とを細胞融合すると細胞の老化が起こることから、細胞の老化は遺伝的に優性に発現する遺伝子の存在によることが予想される。我々はこの遺伝子をみいだすことを試みた。そのために同一個体に由来する老化細胞、及び、その不死化した細胞のDNAを抽出し、両細胞間でのDNA変異の有無を調べた。変異の検出には、VNTR(Variable number of tandem repeats)をプローブとし、DNAフィンガープリント法を行った。その結果、不死化した細胞のDNAフィンガープリント中に見いだされるバンドパターンは、一カ所を除き老化細胞のパンドパターンとすべて一致した。すなわち、老化細胞バンドに比べ、不死化した細胞では、一カ所にバンドの消失がある。このことは、不死化した細胞が老化細胞と同一の由来であることを示すとともに、不死化細胞で消失するバンドに相当する遺伝子が、細胞の老化に関与する可能性を示している。そこで、このバンドに相当する遺伝子をクローニングを開始した。まず第一段階として、老化細胞よりサブゲノムライブラリーを作製し、消失するバンドに相当するゲノムDNAを用いて、cDNAライブラリーより目的とする遺伝子をクローニングを続けている。
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[Publications] Mihara, K.: "Malignant transfomation of human fibroblasts previously immortalized with ^<60>Co γ rays." Int. J. Cancer,. 50. 639-743 (1992)
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[Publications] 加納 良男、: "細胞の老化と不死化の接点。" 組織培養研究、. 11. 55-65 (1992)
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[Publications] 難波 正義: "老化遺伝子、" 臨床検査、. 36. 663 (1992)
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[Publications] 難波 正義、: "ヒト細胞の老化、不死化、癌化-多段階的発癌-" Oncologia,. 25. 418-421 (1992)
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[Publications] 加納 良男、: "増殖抑制の分子細胞生物学。細胞老化と細胞死。遺伝子レベルでの解析。" 実験医学. 10. 147-152 (1992)
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[Publications] Bai, L.,: "Immortalization of normal human fibroblasts by treatment with 4-nitroquinoline 1-oxide." Int. J. Cancer,. 53. 451-456 (1993)