1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04836019
|
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
岸川 正大 長崎大学, 医学部, 助教授 (80112374)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 久義 長崎大学, 医学部, 助手 (00170431)
〓 美保子 長崎大学, 医学部, 助手 (70244051)
井関 充及 長崎大学, 医学部, 助手 (50176252)
|
Keywords | 老化 / 脳 / 神経原線維変化 / 老人斑 / 原爆 |
Research Abstract |
1.広島・長崎両市に保存されている本研究対象のホルマリン固定脳のうち、平成4年に収集・染色が完了しなかった例について、脳の再切り出しを行ない、前頭葉前端、海馬領域、後頭葉後端より皮質と髄質を含むパラフィンブロックを作成した。 2.各部位のパラフィンブロックより8muの切片を6枚作り、ヘマトキシリン・エオジン染色、シッフの反応、コンゴーレッド、ビィールショウスキー・平野変法、抗ベーター蛋白抗体、抗タウ蛋白抗体にて染色を行なった。 3.診断を伏せた組織切片を、2名の病理医が各々独立して検鏡し、老人斑、神経原線維変化、アミロイドアンギオパチー、動脈硬化、顆粒空胞変性、平野小体等の所見を読み取り、Gradingを行なった。 4.臨床病歴、病理解剖記録を基に、疾患特異性としての老人性変化を呈する疾患群および神経症状を有したと思われる脳腫瘍、脳出血、糖尿病などの神経疾患を除外したところ、全28例が最終的な対象として残った。 5.形態計測値を用い被爆線量、喫煙、被爆時年齢、死亡年齢等と脳の老人性変化の間に統計学的に相関関係が存在するかどうかの検討を行なう為に、被爆の有無を先ず検討したところ、直接被爆者は13名のみであった。 6.海馬の老人性変化は、被爆者に老人斑が2例(15.4%)、原線維変化が5例(38.5%)にみられ、非被爆者には老人斑1例(6.7%)、原線維変化6例(40%)であった。海馬傍回では、被爆者の老人斑は5例(38.5%)、原線維変化は4例(26.7%)であった。一方、非被爆者にはそれぞれ2例(13.3%)、9例(60%)であった。前頭葉最先端、後頭葉には明らかな老人斑、原線維変化は見られなかった。
|