1992 Fiscal Year Annual Research Report
新たな老化神経再生促進因子肝細胞分泌タンパク質の作用機序と体外免疫法による同定
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04836020
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
堀江 秀典 横浜市立大学, 医学部, 講師 (80046135)
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Keywords | 神経再生 / 肝細胞 / 再生促進因子 / 成熟ラット / 分泌タンパク質 / 培養 |
Research Abstract |
コラーゲンゲルを用いたる次元培養法を導入することにより成熟ラット・マウスの神経再生系を確立するのに成功した。次の5種類の培養系を用いることにより各種神経栄養因子の作用機序を明らかにすることが可能となった。(1)神経線維を伴った脊髄後根神経節(DRG)、(2)神経線維を切除したDRG、(3)コラゲナーゼ・トリプシン処理により被膜を除去したDRG、(4)単離された感覚神経細胞、(5)神経細胞だけを3次元的に集合した系。NGF(神経成長因子)は単一の神経細胞には際だった再生促進効果を示さなかったが、その集合した系に対し胎生期と同様の著しい再生促進効果を示した。肝細胞分泌神経再生促進因子は、神経線維を伴った系の神経再生を強く促進するが、酵素処理したDRG、単一の神経細胞、3次元的に集合した神経細胞に対し再生促進効果を示さなかった。肝細胞分泌因子は神経細胞に直接作用することなく、神経系を取り巻く細胞系(シュワン細胞・線維芽細胞・神経周膜細胞)を刺激し神経に直接働く因子を分泌させ神経再生を促進すると考えられる。in vivoでは神経被膜により外部から神経細胞への物質の流入が制限されておりNGFも直接神経細胞に作用出来ない。しかし肝分泌因子は外部より傍神経細胞系の細胞を刺激することにより神経細胞を活性化し、神経再生を促進でき、in vivoでの適用の可能性が示唆される。現在シュワン細胞の培養法は確立し、線維芽細胞・神経周膜細胞の培養系も完成しつつある。この系に肝細胞分泌因子を作用させ、その培養上清により神経再生促進効果を検討する。こうした研究と平行して各種クロマトを用いてこの因子の精製・同定を進めている。その結果SDS PAGEで分子量 17、000のタンパク質であることが判明した。今後この分子のアミノ酸シークエンスを決定すると同時にその作用機序の解明を進めていく計画である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 堀江 秀典: "衰えゆく脳への挑戦" パリテイ. 7. 16-23 (1992)
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[Publications] 堀江 秀典: "神経細胞培養法の確立と応用" Tissue,Cult.Res,Commun.11. 361-368 (1992)
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[Publications] H.HORIE: "Mechanism of a hepatocyte secreted factor as an activator of nerve regeneration" Society for Neurosci,Ast.18. 1477- (1992)
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[Publications] K.Sango: "Diabetes induces reduction of calcitonin gene-related peptide(CGRP)-immunoreactive neurons in vitro." Neurosci.Res.Supl.17. 115- (1992)
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[Publications] H.HORIE: "Three dimensional cell aggregation evokes strong response to NGF in adult sensory neurons." Neurosci,Res.Supl.17. 199- (1992)
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[Publications] 堀江 秀典: "新生化学実験講座14、発生・分化・老化 神経膜の物理的特性の加齢変化" 東京化学同人, 7 (1992)