2004 Fiscal Year Annual Research Report
セキュリティを考慮した独立なユーザが共用するインターネットや分散システムの応答性能の研究
Project/Area Number |
04F04031
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
亀田 壽夫 筑波大学, 大学院・システム情報工学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
TOUATI C.E. 筑波大学, 大学院・システム情報工学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | インターネット / 分散システム / Pareto最適 / Fairness / Nash均衡 / Braessパラドックス / セキュリティ / 道路交通制御 |
Research Abstract |
本研究では、今年度は、独立なユーザが共用するインターネットや分散システムの応答性能について重点的に研究を行った。独立したユーザが、それぞれの効用を最適化する状況が自然に思われる。それは、非協力ゲームと見なすことができる。それにおいて、それぞれのユーザの最適化が達成された状態が、Nash均衡である。しかし、Nash均衡は、一般にPareto最適でなく、パラドックスの発生の可能性があるなど、好ましくない点がある。一方、Pareto最適な状態というのは、限りなく多くあり得るが、そのどれも、絶対的に優位な状態ではない。Pareto最適な状態の中で、各種のFairnessを基準にした選び方がある。今年度は、まず、Nash均衡、Pareto最適な状態の集合、および、その中の各種のFairnessを達成した状態、の間の関係について、分散システムのモデルについて、数値的に検討した。さらに、Nash均衡の良さを採り入れたPareto最適な状態として、Nash proportionately fairな状態を検討し、それとの関連も数値的に示した。Pareto最適な状態は、各ユーザの効用関数が凹の場合、各ユーザの効用値を重み付け平均した関数を最適化することによって求められる。しかし、凹でない場合は、必ずしもそうならない。Nash proportionate fairnessを実現するPareto最適な状態は、必ずしも、Fairnessを達成した状態では得られないことなどを観測した。その他の研究成果として、パラドックスは、これまで、ネットワークのルーティングとそれに等価な分散システムの負荷均衡において見つけられてきたが、フロー制御においてもパラドックスが発生する例を新たに発見した。今後、セキュリティ対策を採り入れた場合どのような影響がシステム性能に及ぼされるかについて検討する。
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