2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04F04087
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
福井 孝志 北海道大学, 大学院・情報科学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
MOHAN Premila 北海道大学, 大学院・情報科学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | カゴメ格子 / 有機金属気相選択成長 / III-V族化合物半導体 / ガリウム砒素 / インジウム砒素 |
Research Abstract |
本年度はInAs Kagome格子の人工合成のための、有機金属気相選択成長法の結晶成長条件確立を目的として実験を行った。格子不整合系であるGaAs結晶上のInAs層成長においては、その成長が基板結晶面方位に強く依存するため、これまでの知見から、GaAs系材料で実験的に確立してきたGaAs(111)B基板ではなく、より低い成長温度で良好な構造が期待されるGaAs(111)A基板を選択した。良好な周期構造を有するKagome格子を作製するためには、横方向成長を抑制し、垂直な{110}ファセット面が得られるかがポイントとなるため、結晶成長条件のうち主に成長温度および原料ガス(AsH_3)供給分圧を調整することで最適な作製条件を見出した。まず周期1μmのKagome格子を用いて実験を開始した。GaAsバッファ層を約30nm、その上にInAs層を50nmの膜厚で結晶成長を行った。その結果、成長温度を500℃から400℃に低下させ、さらに成長温度400℃の条件で、AsH_3ガスの供給分圧を1.7×10^<-3>atmから2.7×10^<-4>atmに低下させてInAs/GaAsを成長させることにより、極めて良好な周期構造を作製可能であることを見出した。この最適条件を用いて、理論的に強磁性が発現すると予測されている周期0.7μmのKagome格子の作製にも成功した。この構造を用いて本年度はさらに、フラットバンド確認を目的とした極低温磁気マイクロフォトルミネッセンス測定実験を開始した。結果の詳細な検討は現在行っている最中である。結晶成長実験では上記に加えて、Kagome格子の作製過程で見出された様々な知見を元に、近年にわかに注目を浴びている、全く新しい低次元量子ナノ構造である半導体ナノワイヤ構造(直径100nm以下、長さ2.0μm以上)をInP(111)A基板上に作製することに成功した。
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