2004 Fiscal Year Annual Research Report
セラミックス中への量子細線創製とナノスケール構造解析
Project/Area Number |
04F04103
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
幾原 雄一 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
BUBAN James Paul 東京大学, 大学院・工学系研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 結晶粒界 / 走査透過型電子顕微鏡 / 原子配列 / 化学結合状態 / ドーパント / ナノ細線 / 双結晶 / セラミックス |
Research Abstract |
本研究は、原子分解能を有する走査透過型電子顕微鏡(STEM)を主として用い、近年注目されるつあるセラミック材料中に作製した金属ナノ細線の構造解析・化学分析を行い、量子細線創成に対する設計指針を得ることを目的としている。今年度においては、ジルコニア(ZrO2)やアルミナ(Al2O3)について粒界性格を高度に制御した双結晶を系統的に作製し、STEMによりイットリウムなどの金属元素の存在状態をサブナノスケールで解析した。ZrO2粒界では、粒界性格に依存した粒界コア構造が観察され、格子静力学計算による原子レベル理論計算も行ったところ、実験観察結果を良好に再現することに成功した。しかしながら、解析結果は従来の粒界幾何学理論で推定される構造とは大きく異なり、粒界に沿って原子サイズの空隙が規則的に配列していることが明らかとなった。このような空隙の存在により希土類などの原子半径の大きな元素を粒界が取り込むことが可能であると推察され、粒界の規則性を利用した金属ナノ細線の合成に対する基礎的知見を得ることができた。一方、Al2O3についても双結晶を作製し、そこにイットリウム(Y)の添加を行った。STEM観察を行ったところ、Al2O3粒界上に規則的に配列したY元素列の存在を確認することができた。理論計算によってもYの規則配列の安定性が見出され、結晶粒界を利用した配列型金属ナノ細線の作製が可能であることを明らかにした。
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Research Products
(1 results)