2004 Fiscal Year Annual Research Report
海洋生態系における細菌群集の多様性と活性の支配要因としてのウィルス感染の役割
Project/Area Number |
04F04175
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
永田 俊 京都大学, 生態学研究センター, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
YANG Yanhui 京都大学, 生態学研究センター, 外国人特別研究員
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Keywords | 微生物群集 / 多様性 / 細菌 / フローサイトメトリー / ウィルス / シアノバクテリア / プロクロロコッカス / 微生物食物網 |
Research Abstract |
本年度の研究においては、まず、水域における微生物群集動態についての文献調査を行い、最新の情報に基づく、当該分野の研究状況の把握を行った。次に、海洋生態系の群集組成を解析するうえで有効な手法であるフローサイトメトリー法の検討と分析手順の最適化に関する研究を推進した。フローサイトメトリー法では、標準蛍光ビーズを用い、微生物群集の蛍光強度と散乱光強度および細胞濃度の標準化を行うが、このうち細胞濃度に関しては、ビーズの希釈操作過程に起因すると思われるばらつきが大きいことが明らかになった。流量を用いた補正方法と比較検討を行った結果、試料吸入時間が5分間以上の場合には、流量法により十分に安定した細胞濃度の測定が可能であることが示された。以上の方法的な検討結果に基づき、外洋域で採集されたサンプルの分析を行い、ピコ植物プランクトン(シアノバクテリア、プロクロロコッカス、真核生物)および、従属栄養性細菌群集の解析を進めた。その結果、高緯度から低緯度にかけてピコ植物プランクトン細胞濃度が上昇する傾向が明らかになった。ただし、プロクロロコッカスについては、表層付近では、蛍光強度が弱く検出ができなかった。一方、微生物群集の多様性に影響を与える要因としてのウィルスの測定において不可欠な、限外ろ過装置によるウィルス濃縮の方法についても検討を加え、前ろ過方法や、ろ過に際しての加圧条件の設定などについて最適化を進めた。以上の検討の結果、前ろ過方法としては、ガラス繊維濾紙を使用することが回収率を高めるうえで有効であることが示されるとともに、沿岸域および外洋域のそれぞれの観測における最適なろ過システムの設計がなされた。
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