2004 Fiscal Year Annual Research Report
脱塩基部位形成に基づく一塩基決損の蛍光検出法の開発と応用
Project/Area Number |
04F04391
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
寺前 紀夫 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
CHUN-XIA ZHAO 東北大学, 大学院・理学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 脱塩基DNA / 蛍光性リガンド / 一塩基欠損 / 一塩基多型 / 水素結合 |
Research Abstract |
個人個人に最適化した「テーラーメード医療」の実現に向けて,迅速,簡便かつ安価な一塩基多型(SNPs)検出法の開発が重要な課題となっている。本研究では、まず、標的塩基を含む一重鎖DNAと脱塩基部位(AP site)を有するプローブDNAをハイブリダイゼーションさせることで、標的塩基の向かい側に疎水性空間を構築する。この空間内では水素結合が効果的に機能することを利用して、標的塩基と蛍光性リガンドとの錯形成を行い、標的塩基選択的な錯形成反応を蛍光検出する。一塩基多型や一塩基欠損を検出する上では蛍光性リガンドの特性を評価することが重要である。そこで、シトシン塩基選択性を有するAMND,ならびにその誘導体であるANDおよびADMNDの認識機能を評価し,認識機能に及ぼすメチル基導入の効果について検討した。11merモデルDNA二重鎖(5'-TCCAGXGCAAC-3',5'-GTTGCYCTGGA-3',X=AP site, Y=G,C,A,T)との相互作用を蛍光分光法により評価したところ,メチル基の有無に関わらず,いずれのリガンドもシトシン選択性を示すことが分かった。しかし,シトシンとの1:1結合定数(at 20℃,pH7.0,l=0.1M)はメチル基の数に著しく依存し,メチル基を有さないAND(1.6×10^5M^<-1>)と比較して,AMNDは約6倍(1.0×10^6M^<-1>),ADMNDでは約13倍(2.0×10^6M^<-1>)に達した。結合定数増加の原因を明らかにするために,結合定数の塩濃依存性を評価した。その結果,いずれのリガンドもその有効電荷価数が1.0であることから,シトシンとの錯形成反応がプロトン付加型の3点水素結合形成に基づくことが示唆された。また,この結果から錯形成反応における電解質効果は,いずれのリガンドの場合においても同程度であることが分かった。
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