2004 Fiscal Year Annual Research Report
鋼中における硫化銅析出とそれに及ぼすトランプエレメントの影響に関する基礎研究
Project/Area Number |
04F04422
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
桑原 守 名古屋大学, 工学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LIU Zhongzhu 名古屋大学, 工学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 硫化物析出 / その場観察 / 相変態 / 燐 / 低炭素鋼 |
Research Abstract |
低濃度または高濃度の燐を含む低炭素鋼の表面における相変態と硫化物析出を、レーザー顕微鏡を用いて種々の冷却速度の下で観察した。相変態や硫化物析出に及ぼす燐や冷却速度の効果を、実験結果と数学的モデルに基づく計算結果に基づいて検討した結果、以下のことが判明した。 (1)鋼をδフェライトの状態から連続的に冷却する場合、硫化物は3回に分かれて析出することが見出された。第1回目はδ/γ変態の末期で、δ相から球形状に析出する。第2回目は1573-1373Kにおいて、γ相から網目状、棒状、三角形状、および、球状に析出する。第3回目は、γ/α変態の直後にα相から析出する。 (2)δ/γ変態の初期から、実際の溶解度積は平衡溶解度より高いにもかかわらず、その変態の末期にのみδ相から析出した。その析出における過飽和度は約5-8倍である。 (3)燐添加により、種々の冷却速度においてもA4変態点温度は低下し、A3変態点温度は上昇する。これらの効果は、相変態における燐の再分配によってより顕著になる。 (4)燐は、変態温度をより低温化させたり、鋼中のS活量を増加させることにより、δ/γ変態の末期において、より微細でより多数の硫化物を析出させるようになる。その際、高燐鋼中の硫化物は、δ/γ変態の末期に、より低温で、かつ、より高い過飽和度で析出できるようになる。
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