2005 Fiscal Year Annual Research Report
鋼中における硫化銅析出とそれに及ぼすトランプエレメントの影響に関する基礎研究
Project/Area Number |
04F04422
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
桑原 守 名古屋大学, 工学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LIU Zhongzhu 名古屋大学, 工学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 硫化物析出 / 偏析 / 相変態 / 凝固組織 / 燐 / 錫 / 低炭素鋼 |
Research Abstract |
燐を含有または含有しない低炭素鋼の、ストリップキャスティングによる急冷過程でのマンガン硫化物の析出挙動を、SEMまたはTEMによって調査した。低燐鋼では、球状硫化物(MnSとCu_2Sの混合物)と平板状硫化物(主にCu_2S)の両者が観察された。球状硫化物中の銅濃度は、硫化物径の減少とともに増加した。平板状の硫化物は、高燐鋼ではほとんど見出されなかった。また、高燐鋼中での硫化物サイズは低燐鋼中のものに比べてはるかに微細なものであった。燐は、高温でのMnS析出ばかりでなく、γ相中での平板状硫化物の析出をも抑制することが判明した。一方、燐は、低温での硫化銅析出、ことに、α相中での微細な硫化銅析出を促進しうることが見出された。 次に、マンガン硫化物を含有または含有しない鋼中におけるPやSのミクロ偏析挙動をEPMAで調査した。硫化物含有鋼中でのPやSのミクロ偏析度は、硫化物を含有しない鋼中でのそれに比べて一定量の減少傾向を示した。PやSは、結晶粒界ばかりでなく、硫化物と基質の界面に沿って分布することが観察された。また、PやSのいくらかは硫化物の中にも溶解していた。鋼中の硫化物粒子はPやSが分布しうる場所を拡大し、ひいては、PやSの鋼中でのミクロ偏析度を低下させる。さらに、硫化物と基質の界面におけるPやSの偏析は、析出した硫化物の成長を制限し、硫化物サイズを減少させる。 さらに、Snが凝固組織に及ぼす影響を光学顕微鏡とSEMにより調査した。Snはデンドライトの1次および2次アーム間隔には何ら影響を与えないことが判明した。ただし、Snは、鋼中のPと同様に、δ→γ、および、γ→α変態の温度に多大な影響を与える。高Sn鋼中のオーステナイト初晶のサイズは低Sn鋼中のそれに比べて小さかった。鋼中のSnが硫化物析出に及ぼすいくつかの効果も、今後の研究の中で明らかになろう。
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Research Products
(6 results)