2004 Fiscal Year Annual Research Report
選択的レーザー焼結法に適する生体活性結晶化ガラスの開発
Project/Area Number |
04F04713
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
大槻 主税 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 助教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
GOODRIDGE Ruth Davina 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 選択的レーザー焼結法 / 生体活性 / 結晶化ガラス / 擬似体液 / アパタイト / ウォラストナイト |
Research Abstract |
病気やけが,老化で損傷した骨や歯を修復するために,骨と結合する性質(生体活性)を示すセラミックスが用いられている。超高齢社会を向かえ,その製造技術の水準をより高める必要がある。選択的レーザー焼結法は,コンピューター上で設計した微細構造をもつセラミックスを容易に作製できる製造技術である。そこで,生体活性を示すガラスを選択的レーザー焼結法により焼結・結晶化させることができれば,患者の損傷部位に合わせたオーダーメイドの硬組織修復材料の作製が容易にできると期待される。これまでにSiO_2-Al_2O_3-P_2O_5-CaO-CaF_2系ガラスが,選択的レーザー焼結法で焼結・結晶化できることが明らかにされている。しかし,得られた結晶化ガラスは生体活性を示さない。そこで,本研究では,生体活性を示し,しかも選択的レーザー焼結法で焼結・結晶化できるガラス組成を見いだすことを目的とした。本年度は,まずCaO-SiO_2-P_2O_5系ガラスに微量のCaF_2を添加したCaO-SiO_2-P_2O_5-CaF_2系ガラスを通常の溶融急冷法により作製した。得られたガラスを粉砕し,得られた粉末を一軸加圧成形した後,加熱処理を施すと,アパタイトとウォラストナイトを析出した結晶化ガラスが得られた。析出したアパタイトは骨との親和性を高め,ウォラストナイトは結晶化ガラスの強度を高めると期待される。作製したガラスまたは結晶化ガラスは,ヒトの体液とほぼ等しい無機イオン濃度を有する擬似体液中において,その表面に骨類似のアパタイト層を形成した。これは,これら材料を骨欠損部に埋入した際に生体活性を示す可能性が高いことを示す。これらの結果より,CaO-SiO_2-P_2O_5-CaF_2系ガラスを選択的レーザー焼結法で焼結・結晶化させれば,生体活性を示す結晶化ガラスが得られると期待される。
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