2005 Fiscal Year Annual Research Report
がん細胞表面特性の原子間力顕微鏡による評価法の開発と薬剤デリバリーシステム(DDS)への適用
Project/Area Number |
04F04752
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
東谷 公 京都大学, 工学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
MCNAMEE C.E. 京都大学, 工学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 付着力 / 原子間力顕微鏡 / 摩擦力 |
Research Abstract |
ドラッグデリバリーシステム(DDS)に用いる粒子は、ターゲットがガンの場合、血管壁透過が可能でかつ腎臓で濾過されない大きさ、すなわち粒径50〜100nmが期待されている。しかし細胞とこれらの粒子との相互作用はほとんどわかっていないため、設計指針が求められている。 原子間力顕微鏡を用いると、溶液中で付着力などの表面間力を測定することができる。生細胞表面に深針を接触させ、所定時間放置後、引き離すときの付着力は、10分以上の接触時間を取らないと発現しない。また細胞の種類や表面の状態により異なり、細胞と押し付けているプローブ表面との親和性に依存することが示唆され、どちらかというと疎水性の表面との付着力が大きい。そこで、種々に表面改質したシリカ粒子をコロイドプローブとして、細胞-プローブ間の付着力の検討を詳細に行った。培地中で、シリカ粒子-細胞間の付着力を原子力間力顕微鏡により直接測定した。その結果、シリカ粒子を炭素数が1〜17のいずれの改質剤で修飾した場合でも、またPEGなどの半親水性物質で改質場合でも、シリカ粒子だけの場合に比べて付着力の値はほとんど影響しないが、カリオン基を含むカップリング剤で改質した場合だけは、非常に大きな付着力が得られた。細胞表面はマイナス帯電であり、整合性がある。このことは、表面がカチオン性だとマクロファージに代謝されやすいことを示しているが、逆に、キャリアだけをカチオン性としてマクロファージなどで代謝させれば、中身の薬剤だけを患部に届けることができる可能性を示唆している。
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Research Products
(1 results)