2005 Fiscal Year Annual Research Report
含ケイ素配位子を有する有機パラジウム錯体の合成と化学的性質
Project/Area Number |
04F04772
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
小坂田 耕太郎 東京工業大学, 資源化学研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
NELI Mintcheva 東京工業大学, 資源化学研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | パラジウム / 有機ケイ素配位子 / チタン / 有機ボロン酸 / 異種金属錯体 / シルセスキオキサン |
Research Abstract |
かさだかい有機ケイ素配位子であるシルセスキオキサンを配位子とする有機パラジウム錯体の合成を行った。キレート性二座配位子であるテトラメチルエチレンジアミンを支持配位子とするフェニル(ヨード)パラジウム錯体に対して、酸化銀の存在下で不完全キュバン型シルセスキオキサンを反応させたところ、フェニル基と単座酸素配位シルセスキオキサンとがパラジウムに結合した錯体を合成することができた。これは、シルセスキオキサン配位子を有する有機パラジウム錯体のはじめての例であり、昨年度の研究で構造決定した類似白金錯体とNMRスペクトルを比較することによって、その構造を明らかにすることができた。 上記錯体は、溶液中で放置するとビフェニルを発生しつつ、二座酸素配位シルセスキオキサン配位子を有するパラジウム錯体を生成することがわかった。ここでは、シルセスキオキサン配位子が一部解離してから、生じたカチオン性パラジウム錯体が分子間で反応してビフェニルを生成し、錯体上のシルセスキオキサン配位子が脱プロトンをともなってキレート配位するものと理解される。 上で得られたフェニル(シルセスキオキサン)錯体の反応性を検討した。芳香族ボロン酸との反応においては、シルセスキオキサン配位子の2つの水酸基がホウ素上の水酸基と脱水縮合して、ホウ素、酸素、ケイ素からなる環状構造を配位子内に有するパラジウム錯体を合成することができた。一方ジクロロビス(シクロペンタジエジル)チタンとパラジウム錯体との反応においてはシルセスキオキサン配位子の水酸基とチタン錯体とが脱塩化水素縮合をおこない、チタン、酸素、ケイ素からなる環状構造を有するパラジウム-チタン二核錯体を合成することができた。この錯体は2つの異なる遷移金属中心を一定距離をおいて有していることから、異なる性質の反応点を有する錯体触媒としての機能が期待される。
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