2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04F04870
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
伊藤 幸成 独立行政法人理化学研究所, 伊藤細胞制御化学研究室, 主任研究員
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
GREIMEL Peter 独立行政法人理化学研究所, 伊藤細胞制御化学研究室, 外国人特別研究員
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Keywords | 糖脂質 / リン酸化 / グルコース / ボスファチジルグルコシド / アセチル基 / ラセミ化 |
Research Abstract |
今年度は、平林らによって見いだされた新規リン酸化糖脂質(FEBSLett.,2001,497,141-147)の合成研究を更に発展させた。この化合物はヒト臍帯血から見いだされ、グルコースがボスファチジン酸に結合した構造(ボスファチジルグルコシド:PG)が提唱されている。また、そこから一つのアシル基が外れたリソ体も極めて興味深い活性を有することが示唆されている。PGおよびそのリソ体(Lyso-PG)の研究を行う上で、その安定性が重大なネックになっている。それをふまえ、安定性の向上が見込まれる種々の類縁体のデザインと合成もあわせて行った。研究実施内容は以下の通り: 1)不飽和脂肪酸を有するものを含め、一般性の高いPGの合成法を確立した。過年度に検討したグルコースのアセチル基を選択的に除去する条件を更に最適化し、望む生成物を再現性よく得ることができるようになった。 2)合成したPGとその酵素的脱アシル化によって得られるLyso-PGのNMR解析およびモデリングを行った。それにより、特徴的な分子内水素結合の存在が示唆された。 3)一部グリセロール部位のラセミ化が進行している問題点も、新規合成ルートの開発により完全に解決した。 4)エステル結合をエーテル結合、アミド結合に置き換えた類縁体蛍光ラベル化誘導体、樹脂に固定化するための脂肪酸部分の官能基化についても成功した。 5)これらのプローブを用いて、生物学的、神経科学的検討や抗体作成の試みが共同研究により進行している。 合成研究、共同研究の成果、ともに現在論文投稿準備段階にある。
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