2004 Fiscal Year Annual Research Report
環境調和型不斉合成を指向するキラル有機分子触媒の簡便な合成法の開発とその実用化
Project/Area Number |
04J00284
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
北村 正典 京都大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 相間移動触媒 / キラル有機触媒 / 環境調和 / アミノ酸 / アルキル化 / エナンチオ選択的 / 不斉合成 / グリシン |
Research Abstract |
不斉合成のための金属触媒は、有機化合物を変換するための優れた機能性物質であるが、一方で高価であり、環境を汚染する-人体に影響がある-可能性がある。社会的にも環境にやさしい化学合成が求められているが、金属触媒は必ずしもこれを満たすものではない。こういった背景から、非金属触媒の創製を基盤とする実用的不斉合成法の確立が急務とされている。これを実現する有力な方法が、申請者の所属する研究室において開発された光学活性四級アンモニウム塩を相間移動触媒として用いた不斉合成である。しかし、この有機分子触媒は開発されたばかりであり、その詳細において、未だ解明されていない点も多い。そこで、本研究では、まず簡便なキラルアンモニウム塩の合成法を確立し、これら触媒の多様な不斉合成反応への適応性を検討することとしていた。さらに、この知見を活かした触媒分子の再設計に取組み、その構造と反応性、選択性の相関についての情報を集積し、実用化のための理想的な触媒の開発を目的としていた。 上述のキラル相間移動触媒は、不斉源としてふたつの異なるビナフチル骨格を有する。従ってその合成には、市販されている試薬から多段階合成を余儀なくされる。この問題の解決のため、ひとつのビナフチル骨格のみを用いることで、本触媒合成の簡略化を行った。合成した触媒は、親水性が増すことによって界面でのイオン交換が効率的に行われることが予想され、触媒量を0.01mol%まで減らすことが可能であった。 キラルアンモニウム塩が高価であることを考えると、これは優れた不斉合成法であり、より実用的な触媒を開発できたと考えられる。
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Research Products
(2 results)