2005 Fiscal Year Annual Research Report
環境調和型不斉合成を指向するキラル有機分子触媒の簡便な合成法の開発とその実用化
Project/Area Number |
04J00284
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
北村 正典 京都大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 相関移動触媒 / キラル有機触媒 / 環境調和型 / アミノ酸 / アルキル化 / 不斉合成 / グリシン / ビフェニル |
Research Abstract |
不斉合成のための金属触媒は、有機化合物を変換するための優れた機能性物質であるが、一方で高価であり、環境を汚染する-人体に影響がある-可能性がある。社会的にも環境にやさしい化学合成が求められているが、金属触媒は必ずしもこれを満たすものではない。こういった背景から、非金属触媒の創製を基盤とする実用的不斉合成法の確立が急務とされている。これを実現する有力な方法が、研究代表者の所属する研究室において開発された光学活性四級アンモニウム塩を相間移動触媒として用いた不斉合成である。 今年度はこの触媒の実用性を向上させるために、高価な不斉元であるビナフチル部位をビフェニル骨格に変え研究を行った。ビフェニル誘導体の光学分割法はよく知られているため、容易に行うことができ、これを用いて光学活性四級アンモニウム塩を調製した。その結果、ビフェニル骨格を有するアンモニウム塩にしても優れた触媒活性と選択性を示し、効率よくアミノ酸誘導体の不斉アルキル化反応を行うことに成功した。 さらに、この反応の実用性を立証すべく、生成物であるアミノ酸誘導体を用いた生理活性化合物(BIRT-377)の合成を行った。BIRT-377は、ICAM-1(intercellular adhesion molecule-1、免疫系の細胞間相互作用を司る接着分子の一つ)とLFA-1(lymphocyte function associated antigen-1)の相互作用を阻害する(ICAM-1は、LFA-1と共同してリンパ球の抗原提示細胞への結合や、活性化リンパ球の血管内皮細胞への結合に関与することが知られている。)。この結果、アミノ酸誘導体から2段階という短工程でBIRT-377の合成を行うことができた。
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Research Products
(1 results)