2004 Fiscal Year Annual Research Report
カラー超伝導及びカイラル相転移の、臨界現象とその実験的観測に対する理論的研究
Project/Area Number |
04J00614
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
北澤 正清 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | カラー超伝導 / 前駆現象 / カイラル相転移 / 擬ギャップ / QCD |
Research Abstract |
カラー超伝導の前駆現象に関する研究を積極的に推し進めた。まず、カラー超伝導の臨界温度近傍におけるクォークの状態密度をクォーク対場のゆらぎを取り込んだ形で計算し、カラー超伝導の臨界温度近傍においては、高温超伝導体にみられる擬ギャップ現象と類似した状態密度のくぼみが臨界温度より10%ほど高温まで出現することを示し、高温超伝導とカラー超伝導の類似性を議論したほか、カラー超伝導のこのような性質がQCDの強結合性に起因していることを指摘した。また、臨界温度より高温における比熱および電気伝導度へのクォーク対場のゆらぎの効果を計算し、これらの物理量にはカラー超伝導の前駆現象としての異常が見られることを示した。特に、比熱の発散は中性子星の冷却過程に効果をもたらす可能性があり興味深い。 その一方で、擬ギャップの研究の発展として、カラー超伝導およびカイラル相転移の臨界温度近傍においてそれぞれの相転移に付随したソフトモードがクォークの準粒子描像にもたらす効果を詳細に調べた。この結果として、カラー超伝導の場合には臨界温度近傍でクォークがゆらぎの集団モードと結合することにより、状態密度のみならずスペクトル関数にギャップ的な構造が出現することを示した。そして、このような現象がフェルミエネルギー近傍のクォークの粒子とホール間の共鳴散乱として理解できることを説明した。また、カイラル相転移の臨界温度近傍では、クォークのスペクトル関数が三つのピークを持ち、特に低運動量では低エネルギー領域に鋭い準粒子ピークが出現するという複雑な構造を持つことを示した。
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