2005 Fiscal Year Annual Research Report
細胞障害性T細胞におけるPD-1受容体とそのリガンドの解析
Project/Area Number |
04J01013
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
石田 昌義 大阪大学, 微生物病研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 細胞傷害性T細胞 / 補助刺激分子 / 組み換えタンパク質 / 抗腫瘍免疫療法 / 免疫監視機構 / 悪性腫瘍細胞 / ペア型受容体 |
Research Abstract |
本年度は、まず、前年度から引き続き、細胞傷害性T細胞とPD-1受容体の抑制性作用に基づいた抗腫瘍免疫療法のために、ヒトへの臨床応用を目指した大腸菌から組み替えPD-1,PD-L1分子(いずれも細胞外領域のみをコードするcDNAを安全性はすでに確立された大腸菌用発現ベクターに導入、前年に京都大学を通して許可を得ており、実験は京都大学で行った)の大量調製を試みた。その結果、この組み替えタンパク質は、試験管内において、PD-1とPD-L1同士が生理的に相互作用すること及び、細胞傷害活性の抑制が抗体と同様に認められ、また哺乳細胞で調整した組み替えタンパク質のほうが、数倍以上、結合力が強く、抑制作用も強いという結果を得た。糖鎖修飾されているタンパク質のほうが利用価値は高いものと示唆された。しかし、一般的には、大腸菌のほうが、タンパク質の大量生成には向いており、現在使用されている多くの抗体医薬品は大腸菌で作られているので、さらに結合力を上げる工夫を施すこと、またより具体的に臨床応用を目指すために本組み替えタンパク質の毒性試験やマウスを用いた動物実験を行うこと、調製した組み替えタンパク質のそれぞれを結晶化し、PD-1/PD-L1との結合部位を明らかにすることが必要であることが考えられた。 また、本年度は日本分子生物学会・日本免疫学会、各種研究集会などに積極的に参加し、本研究課題周辺領域の最新情報を積極的に収集し、本研究課題の推進に努めるとともに、大阪大学微生物病研究所免疫化学分野荒瀬尚助教授の指導の下で、ペア型受容体と免疫応答の制御機構に関する研究に従事し、米国の研究者たちが提唱するPD-L1やPD-L2に結合しうる新規な受容体のクローニングを目指して、免疫化学分野で日本学術振興会特別研究員として研究に従事した。当研究室での予備実験の結果から、このような受容体の存在は否定された。
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