2004 Fiscal Year Annual Research Report
視覚系の物体分節過程に関する心理物理学的および脳イメージング法による研究
Project/Area Number |
04J01062
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
前田 青広 京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 物体認識 / 物体分節 / 脳 / 色 / マスキング / 心理物理 / MRI / 視覚野 |
Research Abstract |
視対象が何であるかを認識すること(物体認識)は、我々の視覚機能のうちで重要なもののひとつであるが、物体認識を的確に行うためには、目に映る複数の物体を正確に切り分けること(物体分節)が必要である。本研究の目的は、この物体分節過程に関わる脳内メカニズムを解明することである。 本年度はとくに、物体分節過程において、物体の色情報がどのように利用されているかを調べた。色情報を手がかりにして背景から物体を切り分ける過程の時空間特性を調べるため、色刺激を用いた視覚マスキング現象を利用した。視覚マスキングとは、単独で呈示された場合にははっきりと知覚される視覚刺激(ターゲット刺激)が、時空間的に近接した別の視覚刺激(マスク刺激)の影響によって知覚されにくくなる現象のことである。今回はとくに、ターゲット刺激とマスク刺激の色の組み合わせによって、マスキングの強度を変化させた。マスキングによって物体分節が阻害される場合、それは脳のどこでどのように起こっているのかを、心理実験および機能的磁気共鳴画像(fMRI)装置による脳活動測定により解析した。 本年度の前半では、色覚の心理実験を行う環境を整備するため、専用の刺激呈示システム、測光システム、被験者の反応を取得するシステムを構築した。本年度の後半では、実際に実験を行った。 実験の結果、マスキングによってターゲット刺激が見えなくなった場合、第2次視覚野および第3次視覚野の一部で特徴的な活動低下が見られた。この結果は、これらの脳領域が色情報を手がかりにした物体分節において重要なはたらきをしていていることを示唆した。
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