2005 Fiscal Year Annual Research Report
上皮細胞の機能および性質を規定する遺伝子の同定とその機能解析
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04J01250
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
池ノ内 順一 京都大学, 医学研究科, 特別研究員(DC1) (10500051)
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Keywords | Tricellulin / Tight junction / Ticellular junction / 上皮間葉転換 / Snail / 上皮細胞 / Claudin / Occludin |
Research Abstract |
私たちはまず転写因子Snailが上皮細胞の極性維持に重要な構造であるTight junctionの構成蛋白ClaudinとOccludinの発現を抑制していることを発見した。さらにSnailを強制発現させることによってマウスの培養上皮細胞を間葉系細胞に変化させた細胞と元の上皮細胞のmRNAを遺伝子チップを用いて比較した。その結果、Snailの発現前後で劇的に発現量が変化する遺伝子の解析を行うことにより、Snailが上皮細胞の機能、性質を規定する一群の遺伝子の発現を直接抑制しているという結果を得た。この遺伝子アレイの結果を詳細に解析し、機能がわかっていない遺伝子を網羅的にクローニングして、GFPのタグをつけた発現ベクターを作成し、それらの遺伝子の細胞内局在を調べた。結果、複数の細胞間接着部位に局在する新規蛋白質のクローニングに成功し、詳細な細胞生物学的解析を行った。本年度は、その中のひとつである新規4回膜たんぱく質について着目し、詳細に解析を進めた。この新規たんぱく質は、非常にユニークなことに、3つの細胞があつまるTight junction (Tricellular tight junction)に局在するたんぱく質であることを蛍光抗体法や電子顕微鏡的観察法を用いて証明した。このことから、このたんぱく質に対して、Tricellulinと命名した。Tricellulin遺伝子をRNAi法を用いて、ノックダウンを行い、Tricellulin遺伝子は上皮細胞のTricellular tight junctionの形成のみならずbicellular tight junctionの形成にも必要な遺伝子であることがわかった。この成果は、28回分子生物学会において口頭発表し、Journal of Cell Biology誌に論文として掲載された。
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