2005 Fiscal Year Annual Research Report
農業の知的所有権と研究開発投資の生産性に関する分析
Project/Area Number |
04J01345
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Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
齋藤 陽子 (藤井 陽子) 帯広畜産大学, 畜産学部, 特別研究員(PD) (30520796)
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Keywords | 試験研究制度 / スピルオーパー / 品種改良 / 小麦 / 遺伝資源 / 肥料反応関数 |
Research Abstract |
平成17年度は,研究課題「農業の知的所有権と研究開発投資の生産性に関する分析」における採用2年目である.昨年度の文献サーベイをもとに,おもに小麦を対象として分析を進めた.以下,本年度の各成果について述べる. 1.「小麦育種制度の歴史的変遷とスピルオーバーに関する分析」 『農業経済研究』別冊 2005年度日本農業経済学会論文集 「育種制度の再編意義を問う」という社会学的な課題に対し,遺伝資源データという自然科学データに依拠した分析を試みた初めての分析である.分析枠組みに正の外部性(スピルオーバー)の概念をもちいた点も新たな分析視角を提示するものである.本成果については,日本農業経済学会において口頭報告をおこない,そこでの議論を踏まえた上で執筆した. 2.「小麦育種における品種改良の成果と肥料反応関数」『農経論叢(北大農学部紀要)』62号 2005年度 小麦育種における育種目標を多収・短稈に加え,近年重要視されている品質向上,すなわち蛋白質含有量の上昇,の3点に絞り,その成果について肥料反応関数を援用して分析した.肥料反応関数は新しい手法ではないが,おもに窒素投入量に対する収量など育種成果の反応を明らかにするという自然科学的な視点で使われてきた.そこで,本稿では,農林登録年を技術進歩の代理変数として組み込み,育種制度の成果を問う,という社会学的な課題への接近方法とした点で新たな方法論および研究開発に関する分析の重要性を提示したものである. 以上2つの成果から,本年度は研究開発制度の在り方やその成果といった社会学的分析課題に対し,遺伝資源データや試験研究データといった自然科学データをいかに利用し分析につなげるか,といった点に取り組んできた.
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