2004 Fiscal Year Annual Research Report
星間ガスの内部構造及びダストの分布を考慮した銀河の形成進化の研究
Project/Area Number |
04J01891
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
岡本 崇 国立天文台, 理論研究部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 銀河形成 / 銀河形態 / 渦巻銀河 / 数値流体 / 銀河団 |
Research Abstract |
1.WMAP衛星による宇宙背景放射の観測で決定的となった真空のエネルギーが支配的な平坦・低密度のコールド・ダークマター(CDM)宇宙を仮定して宇宙論的な銀河形成シミュレーションを行った。このシミュレーションでは宇宙背景放射、ガス冷却、星形成、Ia型及びII型超新星爆発によるガスの過熱及び金属汚染等、銀河形成に重要な物理を取り入れるだけでなく、星間ガスの多相構造も陽に考慮した。その結果、同一の初期条件を用いても星形成にどのようなモデルを仮定するかで最終的に得られる銀河は楕円銀河から渦巻銀河まで多岐に渡ることが明らかになった。また、高赤方偏移銀河の性質や楕円銀河、銀河団ガスの金属量を説明するために、爆発的星形成時に大量の大質量星が形成される可能性が近年の研究によって示唆されている。 これに基づき、本研究では爆発的星形成が強い衝撃波によって励起され、そこで大量の大質量星が形成されると仮定すると、長年CDMモデルの問題点とされていた「角運動量問題」(CDMモデルの下では観測と比較して小さな銀河円盤しか形成されないという問題)も自然に解決されることを示した。この結果は論文としてまとめ、Astrophysical Journal誌に投稿中である(astro-ph/0503676)。 2.宇宙流体を扱う場合の標準的手法となっているsmoothed particle hydrodynamics法には原理的な欠陥があり、宇宙流体で重要となる衝撃波とshear flowを同時に扱えないことを明らかにした。この結果は2005年度秋季天文学会において報告した。 3.すばる望遠鏡を用いた銀河団銀河の観測プロジェクPISCESに参加し、プロポーザル並びに議論に理論的側面から貢献した。結果をまとめた論文はPublication of Astronomical Society of Japanに受理されている。 4.世界で始めてIa型超新星爆発を階層的構造形成モデルに取り入れ、天の川銀河の化学進化を議論した。この結果はAstrophysical Journalに投稿中である。
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Research Products
(1 results)