2005 Fiscal Year Annual Research Report
森林資源勘定による水源林の次世代型管理手法・政策の評価-東北地方を対象として-
Project/Area Number |
04J01939
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
泉 桂子 独立行政法人森林総合研究所, 東北支所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 土地改良区 / 水源林 / 水源涵養機能 / 鹿妻穴堰 / 雫石川 / 甲府市 |
Research Abstract |
1.研究計画に基づき、東北地方における水源林管理事例をサーベイした。(1)盛岡市水道局、(2)花巻市水道事業所、(3)鹿妻穴堰土地改良区の事例を概観したところ、(3)の事例を本年度の研究対象とした。その理由は、第1に1927年から水源林経営が開始されており、長い歴史的蓄積を持っていること、第2に資料が良好な状態で保管されており、閲覧にも協力的であること、第3に土地改良区の水源林周辺には国有林、岩大演習林などがあり森林経営の指摘展開についてそれらとの比較が可能なことである。 2.鹿妻穴堰土地改良区水源涵養林の形成過程を資料から明らかにした。同土地改良区の水源林は大正期における下流での大幅な水需要の増大と上流における森林利用の拡大を背景として形成されたが、昭和初期に同土地改良区の収入が減少すると財産林としてみなされるようになった。 3.これまで資料収集、分析を行ってきた甲府市水源林の戦後期の経営展開を論文としてとりまとめた。甲府市水源林における戦後期の経営は、経営計画を見ると第I期:針葉樹壮齢林期、第II期:木材生産機能高度発揮・市財政への寄与期、第III期:水源かん養機能高度発揮期、と推移し、実行過程では第I期:事業の模索期、第II期:伐採と跡地への造林期と人工林初期保育期、第III期:公共事業による保育実行期、事業の縮小期であった。山梨県有林・東京都水源林との対比でいえば、第I期:択伐施業主体・復興用材供給の類似期、第II期:国有林追随の類時期であったのに対し、第III期は東京都水源林における水源涵養機能高度発揮型経営計画の積極的模倣期であった。(662字、見出しは含まず)。
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Research Products
(3 results)