2005 Fiscal Year Annual Research Report
強磁性酸化物半導体による室温動作スピントロニクス素子の作製
Project/Area Number |
04J03416
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
豊崎 秀海 東北大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | スピントロニクス / 強磁性半導体 / トンネル磁気抵抗素子 / 異常ホール効果 / 磁気円二色性 / キャリア誘起強磁性 / CoドープTiO_2 |
Research Abstract |
本研究は、室温で動作するスピントロニクス素子の作製を究極の目標としている。 我々は室温強磁性であるCoドープTiO_2の強磁性の起源がキャリア誘起によるものであることを系統的に作製した試料の磁気輸送効果および磁気光学効果の測定から明らかにした。したがって、CoドープTiO_2のスピン偏極したキャリアをスピントロニクス素子に利用可能であることがわかった。素子へ応用するにあたっては、CoドープTiO_2のスピン偏極したキャリアを外部に取り出すこと(スピン注入)が必要である。そこで我々は、CoドープTiO_2を用いたスピントロニクス素子としてトンネル磁気抵抗素子の作製を行なった。基板表面処理、薄膜成長条件の最適化、そしてデバイス構造の最適化など作製プロセスを改良することにより、世界で初めて酸化物強磁性半導体を用いたスピントロニクス素子の動作を実現した。これはGaNやZnOをホストとする材料を含めた室温強磁性半導体の中でも最初のスピン注入デバイスである。トンネル磁気抵抗比は15Kで約11%程度であり、最高動作温度は約200Kである。室温動作には至っていないが、従来の強磁性半導体デバイスの3倍以上の動作温度を達成した。この結果は、現在は低温動作に留まっている半導体スピントロニクスデバイスのが高温でも動作の可能性であることを意味している。また、素子の作製プロセスの更なる改良によりデバイスの室温動作をも期待できる。
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