2004 Fiscal Year Annual Research Report
乳児の聴覚情報処理の発達と言語機能の発現;事象関連電位による研究
Project/Area Number |
04J03621
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
工藤 紀子 千葉大学, 大学院・自然科学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 乳児 / 事象関連電位 / 言語 / 発達 |
Research Abstract |
外国語を耳にしたとき,その言語を聞いたことのない者には,何種類かの音が流れているようにしか聞こえない。しかしやがて耳が慣れてくると,次第に単語としてのまとまりを切り出すことができるようになる。これを分節化と言う。 乳児にとって,外界にあふれる言語は,いわばみな「外国語」である。乳児が言語を獲得するためには,まず外界にあふれるさまざまな音の中から言語音を聞き分け,言語音として処理し,さらに分節化するということが重要となる。 分節化を行うための手がかりとしてポーズなどいくつかあるが,本研究では,これらの手がかりの中でも特に音の遷移確率をもとにした統計的学習に着目した。乳児が言語を獲得する際に,この統計的学習能力が基盤となっているのではないだろうか。 統計的学習による分節化の能力の有無と発達について検討するために,本年度は,まず純音を用いて,wordと呼ばれるまとまりを数種類作成し,これをランダムに並べて音列を作り,繰り返し聞かせた。対象は新生児から1歳未満の乳児とし,音を聞いている間の事象関連電位を測定した。これまでにSaffranらの行動実験により,7ヶ月の乳児で統計的学習による分節化が可能なことは知られているが,本研究で事象関連電位を用いたことにより,乳児がかなり早い段階から統計的学習による分節化が可能であることを示唆する結果が得られた。また,月齢により反応が異なり,これは脳の発達との関連によるものと考えられる。
|