2004 Fiscal Year Annual Research Report
グローバル経済下における食の安全保障と加工資本による原料調達システムに関する研究
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04J03676
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Research Institution | Rakuno Gakuen University |
Principal Investigator |
小林 国之 酪農学園大学, 酪農学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 馬鈴しょ / 加工資本 / 原料供給体制 / 共販理論 |
Research Abstract |
本年度は馬鈴しょ関連産業の原料調達システムに関する調査および国内の馬鈴しょ生産者による組織的対応の実態について調査を行った。加工資本の展開に対応した農協による原料供給体制は、資本および農民側それぞれの規定要因によって形成されることが明らかとなった。資本の側の規定要因としては市場の発展段階と資本間の競争を基礎においた加工資本の事業戦略である。農民の側の規定要因としては農協による地域農業振興の歴史や、自然的条件に規定された生産力を基盤にした産地間競争である。 社会的、自然的条件の優劣は、技術発展や経済環境の変化によって時代的に変化するものである。したがって、原料供給体制には最終的な到達点というものはない。時代によって変化する社会的、自然的条件のもとで、それぞれの地域の条件に規定されながら生産者が主体的に形成していく、その主体性の発揮こそが重要なのである。 商業資本を前提とした共販理論からの研究は、主産地を形成し協同組合を組織することで、卸売市場を経由して農民的商品化を成し遂げるというものに主眼がおかれてきた。しかし現在は、流通過程における対応のみでは適正な価値を実現することは困難であり、さらに農業における加工資本の影響はますます高まっている。したがって、共販の機能を流通過程から拡大して加工過程も射程に入れるひつようがある。共販論は、資本の主導によって進む市場再編に対してとりうる、農民的な対応の可能性に焦点を当ててきた。そうした問題意識を踏まえるならば、農民が加工資本と協力、競争しながら、原料供給体制を主体的に構築する。原料供給体制構築にむけた「自主性・主体性」を確保すること、それにむけた理論的研究が必要であろう。
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