2004 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内スフィンゴ脂質選別輸送に関わる新規因子の同定とその解析
Project/Area Number |
04J03830
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
河野 美幸 国立感染症研究所, 細胞化学部, 協力研究員
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Keywords | 脂質選別輸送 / セラミド / スフィンゴ脂質 / CERT |
Research Abstract |
[目的]細胞内脂質代謝においては、代謝酵素だけでなく脂質分子自身が生合成/分解の場に的確に輸送されることが重要であるが、脂質選別輸送を担う分子はほとんど明らかになっていない。感染研・細胞化学部では、スフィンゴ脂質生合成の中間物質(セラミド)のATP依存性小胞体-ゴルジ体間輸送の欠損変異株の解析から、スフィンゴ脂質の細胞内選別輸送に特異的なタンパク質(ceramide transport, CERT)が関与することを初めて明らかにしている。本研究では、スフィンゴ脂質選別輸送におけるCERTの機能解析、CERTと協同して選別輸送に関わる新規因子の同定及び解析を行い、スフィンゴ脂質選別輸送の分子機構の解明を目指す。 [方法・結果]大腸菌two-hybrid system (BacterioMatch【○!R】)を用いて、上述のCERTと相互作用する新規哺乳動物因子の同定を試みた結果、候補遺伝子を一種類同定した。現在、この因子とCERTとの相互作用の生理的意義について解析を進めている。また最近、既知の小胞体膜タンパク質(VAP)と相互作用するタンパク質群に保存されたアミノ酸配列(FFATモチーフ)が明らかとなった。このモチーフはCERT中間領域においても保存されている。CERTのFFATモチーフに点突然変異を導入、もしくはFFATモチーフを欠失させると、in vitroにおけるCERTのセラミド輸送活性が野生型の約50%に減少した。また、免疫沈降法により、両タンパク質が相互作用すること、及び、FFATモチーフ変異型CERTにおいては、VAPとの共免疫沈降が観察されないことを明らかにした。以上の結果から、CERT FFATモチーフはVAPとの相互作用に必須であり、VAP-CERT間の相互作用はCERTのセラミド輸送活性に影響を与えることが示唆された。
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