2004 Fiscal Year Annual Research Report
メラネシアにおける近代性と新宗教運動に関する人類学的研究
Project/Area Number |
04J03914
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
石森 大知 神戸大学, 国際文化学部, 特別研究員(DC2)
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Keywords | メラネシア / 近代性 / 新宗教運動 / キリスト教 / 植民地経験 / ソロモン諸島 |
Research Abstract |
本年度のはじめより,これまでソロモン諸島で収集した一次資料および文献資料の整理・分析を行ってきた。そこで扱った資料は,メラネシアおよびソロモン諸島(ニュージョージア島)を対象とした「キリスト教と植民地経験」,「新宗教運動における社会経済活動」,「伝統と近代の相関関係」に大別することができる。これらの資料を個別に扱うのではなく,互いの関係性にも注意を払うことで,メラネシアにおける近代性と新宗教運動の一端を明らかにすることができた。 ニュージョージア島の新宗教運動に関する一次資料を整理・分析する過程において,メラネシアの人々が西洋起源のキリスト教をいかにして取り込み,自らの日常生活を構築してきたのかについて理解することができた。その結果として,この運動は,「伝統」と「近代」という単純な二項対立から論じることはできないような複雑な性格を有しており,これらの対立を固定的なものとみなしてしまえば,現実の表面的な理解に留まってしまうことが明らかとなった。さらに,これまで本格的な研究がなされてこなかったメラネシアにおけるキリスト教の初期受容以降の動向について概観し,現代メラネシアのキリスト教と伝統的信仰との棲み分けに関する新たな知見を得ることができた。 以上のような資料の整理・分析と並行する形で,「メラネシアにおける近代性と新宗教運動に関する人類学的研究」の理論的側面を構築するために,人類学をはじめ関連する隣接分野の学術論文を収集・精読した。それに加えて,研究・調査の成果を発表するため,学術論文の執筆や学会発表を積極的に実施するとともに,来年度に予定している博士学位論文の執筆をお行ってきた。
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