2004 Fiscal Year Annual Research Report
地球型惑星の大気形成:惑星形成過程における混合大気の寄与
Project/Area Number |
04J04281
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
玄田 英典 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 惑星初期進化 / 大気の起源 / 大気の進化 / 脱ガス大気 / 太陽組成大気 |
Research Abstract |
観測および惑星形成理論によると、地球型惑星は原始太陽系星雲ガス(ネビュラガス)の中で形成した可能性が高い。微惑星の衝突合体によって惑星が現在の月サイズよりも大きくなると、周囲のネビュラガスを重力的に捕獲し始める。また、微惑星に含まれている揮発性成分が脱ガスするのも惑星が月サイズ以上になってからである。したがって、混合を考慮しなければ、脱ガス成分の大気を下層、ネビュラガス成分の大気を上層とした2層大気が惑星の初期には形成されたはずである。 まず、2層の混合が起こらない場合について考え(混合プロセスの詳細については、2年目に行う)、2層大気の熱構造を数値的に解くプログラムを作成した。その結果、火星サイズの惑星では、脱ガス大気の総量によって、表面状態が異なることがわかった。脱ガス成分の大気量が多いと、全球的なマグマオーシャンが形成され、高温となる。一方、脱ガス成分の大気量が少ないと、表面温度が約700K程度となりマグマオーシャンが形成されない。地球サイズの惑星では、脱ガス大気の総量によらず、地表面温度が約2000K程度の高温に維持されつづけることがわかった。このプログラムで計算された結果の一部は、2005年に発表したNatureの論文中で用いた。 次に、脱ガス大気の総量および組成について調べた。これらは、微惑星中に含まれる揮発性元素の量・組成と、脱ガス大気と惑星表面の相互作用によって決まる。微惑星中に含まれる揮発性元素については、始原的隕石をベースにパラメータとして与え、脱ガス大気と惑星表面(マグマオーシャン)の化学相互作用について調べた。その結果、金属鉄・酸化鉄バッファーによってH_2/H_2Oモル比が10程度になることがわかった。また、H_2Oのマグマオーシャンへの溶融によって大気中のH_2O量が微惑星中の揮発性元素量にあまり関係なく一定量になることがわかった。
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