2004 Fiscal Year Annual Research Report
マグマの脱水速度論に基づくマグマ上昇時間スケールの定量化
Project/Area Number |
04J04391
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
奥村 聡 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | マグマ / 脱水 / 火山噴火 / 水 / 拡散 / 反応 / 時間スケール / ケイ酸塩メルト |
Research Abstract |
本研究は,マグマの脱水機構を理解,その速度を定量化し,マグマ上昇の時間スケールを考察することを目的としている.本年度は,主にマグマの高温脱水その場観測実験法を確立し,脱水実験を行った.また,脱水過程をモデル化し,数値プログラムを作成し,数値実験も開始した. 今年度の成果として,まず様々な化学組成のマグマ中の拡散係数を決定したことが挙げられる.この研究では,これまでほとんど調べられていなかった玄武岩〜流紋岩質組成のケイ酸塩メルト中の水の拡散係数を決定し,その化学組成依存性を定量化した.この研究成果は,国際雑誌に投稿中である.第二に,マグマの高温脱水"その場"観測実験方法の確立が挙げられる.この研究では高温状態でのマグマの脱水を"その場"観測する方法を確立した.この研究の成果は,米雑誌論文に発表した.この方法を用いることで,これまで観測することが難しかったマグマの脱水における複数の化学種の水(水酸基や分子水など)の拡散・反応過程を調べることが可能になった.第三に,上記の"その場"観測方法を利用することで,流紋岩質メルト中の水の拡散・反応を調べた.そして,拡散・反応モデルを基に数値実験を行った.現在までに流紋岩質メルト中の分子水の拡散係数を決定するに至っている.他の化学形態の水の拡散係数やそれら水分子種間の交換反応速度などについて引き続き研究を進める予定である.第四に,火山噴火における水の役割を図書にまとめた.特に,上記の結果等を踏まえて予察的な計算を行いマグマ上昇の時間スケールを見積もった.
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