2004 Fiscal Year Annual Research Report
電子・活性アニオン包接ナノポーラス結晶をを利用した新機能性材料の探索と物性評価
Project/Area Number |
04J04550
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
松石 聡 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ナノポーラス結晶 / 活性アニオン / 電子伝導性酸化物 / エレクトライド / 電子スピン共鳴 |
Research Abstract |
1.電子常磁性共鳴(EPR)を駆使することにより、ナノポーラス結晶12CaO・7Al_2O_3(C12A7)中の活性酸素O_2^-の包接状態およびそのダイナミックスについて解析を行った。本研究ではCW-EPRに加え、パルスEPRを使うことでO_2^-周辺の中距離構造に関する知見を得た。また単結晶試料を用いることにより、O_2^-の結晶内における配向を決定することに成功した。さらに酸素を磁性核である^<17>O_2(I=5/2天然存在比0.038%)に置換することで、O_2^-中の^<17>Oによる超微細分裂を観測し、O_2^-であることの決定的同定を行った。こうして得られたデータの解析から、O_2^-はC12A7中のケージに包接されており、ケージの壁のCa^<2+>イオンに吸着していることが分かった。20K以下ではO_2^-はほぼ静止しており、温度の上昇に伴い回転を始める。ただしCa^<2+>との結合を切る形での運動は抑制されており、異方性の回転となっている。 2.C12A7のケージに包接されている酸素イオン(O^<2->)を化学処理により完全に抜き去ることで、ケージの中に電子を包接させ、電子が陰イオンとして振舞う結晶"エレクトライド"を合成することができる。エレクトライドはゆるく束縛された大量の電子を包接していることから、電子ビーム源としての応用が期待されていた。本研究では、C12A7エレクトライドを冷電子放出源として利用することで、室温での電界電子放出に成功した。 3.C12A7に電子が低濃度に包接された場合(〜10^<19>cm^<-3>)、電子はケージのひずみを伴ってポーラロンを形成し、これが隣接するケージ間をホッピングすることで伝導性が生じていると考えられてきた。これを確かめるため、テラヘルツ時間領域分光法により、テラヘルツ周波数領域でのキャリア応答を調べたところ、複素電気伝導度がホッピング伝導を示すJonscher則に従うことがわかった。
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Research Products
(5 results)