2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04J04744
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
及川 達夫 九州大学, 生体防御医学研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | BubR1 / 中心体 / 癌 / 有糸分裂期チェックポイント |
Research Abstract |
中心体は正確な細胞分裂、染色体分配に重要な細胞内小器官である。中心体過剰複製は有糸分裂期に染色体分配の不均衡を生じさせ、細胞の癌化を引き起こす要因の1つと考えられている。我々はこれまでに有糸分裂期チェックポイントタンパク質であるBubR1がp53ノックアウトマウス細胞株において中心体過剰複製を抑制することを明らかとした。このことからBubR1は腫瘍抑制効果を有し、新たな癌分子標的治療ターゲットになりうることが期待された。本研究ではヒト膀胱癌細胞株におけるBubR1の腫瘍抑制効果を検討した。 1,BubR1の腫瘍抑制効果の検討 BubR1発現ベクターを7種類のヒト膀胱癌細胞株に遺伝子導入した後、抗γ-tubulin抗体を用いた免疫染色、ならびにColony Formation Assayを行うことで中心体数の計測と腫瘍抑制効果を検討した。BubR1の遺伝子導入によりすべてのヒト膀胱癌細胞株で中心体過剰複製の抑制、コロニー形成数の減少が認められた。 2,BubR1による腫瘍抑制機構の解析 BubR1発現ベクターと共に遺伝子導入マーカーとしてGFP発現ベクターをヒト膀胱癌細胞株に遺伝子導入した後、継時的にGFP陽性細胞率の計測、またTUNEL法を用いてアポトーシス率を検討ならびに有糸分裂期細胞数の計測を行った。BubR1を遺伝子導入したヒト膀胱癌細胞株において時間の経過とともにGFP陽性細胞率の減少、また有糸分裂期細胞数ならびにアポトーシス細胞数の増加が認められ、BubR1による腫瘍抑制機構は、ヒト膀胱癌細胞を有糸分裂期で細胞周期を停止させアポトーシスの活性化であることが示唆された。以上の結果によりBubR1は新たなヒト膀胱癌の分子標的治療ターゲットになりうる可能性が示唆された。
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