2004 Fiscal Year Annual Research Report
核磁気共鳴法を用いた運動性の解析によるリゾチームのアミロイド線維形成機構の解明
Project/Area Number |
04J04976
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
加藤 秀典 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | リゾチーム / アミロイド / 核磁気共鳴法 |
Research Abstract |
ヒトリゾチームのアミロイド線維形成の分子機構を明らかにすることを目的として、大腸菌によるリゾチームの大量発現系の構築、精製方法の確立、NMR測定に必要な^<13>C、^<15>N標識体の発現及び精製、測定条件の最適化、そしてシグナルの帰属のために必要な各種NMRスペクトルの測定を試みた。 枯草菌由来細胞壁溶解酵素CwlCの細胞壁結合ドメイン(CwlCr)は、一次配列中に同一のアミノ酸配列を2回有する特徴的なリピート構造をしている。これまでの研究から、この繰り返し配列を入れ替えた変異体も、野生型とほぼ同様の立体構造を維持することが示唆されている。しかしながら、その構造安定性は野生型に比べ大きく低下している。そこで、CwlCrの構造安定性の分子機構を明らかにすることを目的として、繰り返し配列を入れ替えた変異体の立体構造をNMRによって決定し、野生型との詳細な比較を行うことにした。まず、大腸菌による発現系を用いて^<15>N標識体、^<13>C/^<15>N標識体の発現、精製を行った。得られた試料を用いて様々な条件下でNMRスペクトルを測定し、構造決定の条件の最適化を行った。得られたスペクトルはいずれもシグナルの分離が大変良く、構造決定が十分に可能であること、繰り返し配列を入れ替えても立体構造が大きく影響されないことを強く示唆するものであった。今後の構造解析に向けて、主鎖及び側鎖の帰属に必要な様々な多次元NMRスペクトルを測定し、それらの解析を行った。
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