2004 Fiscal Year Annual Research Report
植物性含硫化合物の血小板凝集抑制作用に着目した、新しい抗がん作用メカニズムの解明
Project/Area Number |
04J05323
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
細野 崇 日本大学, 生物資源科学部, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 血小板凝集抑制作用 / 増殖抑制作用 / アポトーシス / 抗腫瘍効果 |
Research Abstract |
植物性含硫化合物には、抗菌作用、抗血小板作用などの多彩な薬理作用を有することが知られている。中でも、ガーリックの匂い成分には、強力な抗血小板作用を有する化合物alk(en)yl sulfidesが存在する。本研究では、様々なalk(en)yl sulfidesを用い、がん転移の阻止・抗がん活性について検討を行う。まず本年度は、in vitroにおいてalk(en)yl sulfidesの構造と抗血小板作用、抗がん活性の相関関係の検討、in vitroにおいて抗がん活性を示すことができるか否かについて検討した。 ヒト血小板とウサギ血小板を用い、アラキドン酸により惹起させた血小板凝集は、各種alk(en)yl trisulfidesにおいて顕著に抑制された。また、ヒト大腸がん細胞(HCT-15)を用いてこれらalk(en)yl sulfidesの抗がん作用をin vitroで検討したところ、trisulfideを分子中に持つ化合物は、monosulfideやdisulfideを持つ化合物よりも顕著に増殖を抑制し、アポトーシスを誘導した。したがって、硫黄の数が3つであることが、血小板凝集抑制活性やがん細胞の増殖抑制活性には重要であることが明らかとなった。上記の結果を踏まえ、ヒト大腸がん細胞をヌードマウスの背側皮下に移植し、alk(en)yl trisulfideの経口投与を行い、移植腫瘍に対する抗腫瘍効果の有無を検討した。今回用いた細胞において、3週間の観察期間でin vivoでの抗腫瘍効果は認めなかった。 本研究においてalk(en)yl trisulfideはヒト大腸がん細胞に対してin vitroでは増殖抑制効果を認めたが、in vivoでは抗腫瘍作用は認めなかった。in vivoにおけるalk(en)yltrisulfideの吸収や代謝の過程は不明であり、今後、trisulfideの体内動態、投与方法などを検討すべきと考えている。
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